既死廻生のクレデンダ 前編
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クスに異を唱えた。2000年前には量子通信技術の重要資料の強奪を行い、1000年前にはなんの通達も無しにクレデンダの人工衛星群を不法占拠し、国際法違反である宇宙軍を組織してクレデンダへ衛星軌道上からのピンポイント攻撃を行っていた。
2勢力が開戦したのはその頃だったとデータにはある。
千年戦争。今ではそう呼ばれている、地球を二分する最終決戦。
数に勝り、クレデンダの技術を盗み続けることで戦線を維持するミランダと、統合戦闘システムによる戦略的戦争経済を構築して質で迎撃したクレデンダの戦争は、すぐさま泥沼化した。
極度に発達した技術により原子変換による資源確保とクレデンダの大量生産を行ったクレデンダは、規模こそ劣るものの消耗と言うものを知らない。完全管理社会ゆえに、無駄がない。700年前からは禁止されていた機械知性体を導入したことで更に死者が減っていた。
対するミランダは地球に存在する土地の7割を所持し、その圧倒的人口と物量を最大限に活かして消耗を見せなかった。クレデンダから盗んだ技術でサイボーク兵や無人機、大量殺戮兵器を駆使してあの手この手でクレデンダを滅ぼそうとした。
次第に互いの戦闘方向は、より有用なものを主義主張を越えて導入する――つまり互いに互いの戦法を取り入れる混沌状態に突入した。
そしてとうとう100年前、潤沢に存在した資源の限界が見えてきたミランダと、戦争システムの維持にシステム的綻びが見え始めたクレデンダの両勢力は賭けに出た。あらゆる技術を総動員した、全面衝突による徹底的な消耗戦である。
犠牲を厭わない戦法に変わった途端、戦場は死体に塗れた。
今までも大量の死体が存在したが、人口が400億人にまで膨れ上がったミランダの全兵力投入が、状況を動かした。ミランダに対し人口16億人のクレデンダは質で追い返していたが、その質を上回る量で強引に押し切り始めたのだ。人間の波はクレデンダによって大量に殺されたが、その波は数に劣るクレデンダを鏖殺した。
その頃には既に、ミランダ・クレデンダ両勢力のイデオロギー的差異は消滅しつつあった。
人道を唱えていたミランダは年寄りや女子供に薬物洗脳とサイボーグ化によって無理やり戦闘能力を与えて戦わせ、感情排除を唱えていたクレデンダは精神的効果を狙って捕虜の鹵獲と記憶改竄・改造に乗り出した。使用する技術も似たり寄ったり、戦争第一なのも似たり寄ったり。
既に、人々もどちらでもよかった。
人間の生活様式は、戦争をすることだけになってしまったのだから。
命令系統の消滅により一次的に最優先行動事項が消滅した『彼』は、この後に取る行動に興味が持てなかった。クレデンダに『興味』という概念が存在するのもおかしな話だが、既にクレデンダ内ではミ
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