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医者として非常に情けない話である。
シルヴィの様子がおかしいのに気が付いたのは、その日の朝だった。
前日から熱っぽい、頭が痛いと訴えていたが、単なる風邪の初期症状だと思っていた。
台所で朝食を作っていた彼女が、か細い悲鳴を上げて床に倒れこむ。
「シルヴィ? どうした!」
「先生、先生!」
「大丈夫か?」
「私、わたし……」
ふと床を見ると、床に数滴の血がこぼれていた。
「どうした! ナイフで指でも切ったのか? 見せてごらん」
「ち、違うんです、指じゃないんです! 血、血が、足の間から……」
シルヴィは真っ青な顔で、自分の太ももを指さす。
「!! シルヴィ!!」
「先生、私、死んじゃうんですか!?」
彼女の太ももを、1筋の血が伝っていた。
「シルヴィ! ああ、なんてことだシルヴィ!!」
「先生! 先生! 助けて!! 私、先生を残して死にたくないです!」
「ああ、僕は何で気づかなかったんだ! シルヴィ! すまん、シルヴィ!」
ひざまずいてシルヴィをぎゅーっと抱きしめると、彼女は肩を震わせて大きな声で泣きだした。
僕の胸で泣き続けていた彼女をそっと抱き起してベッドに寝かせ、足に垂れた血を綺麗に拭く。
「落ち着いたかい?」
「はい、先生。ありがとうございます。さっきは取り乱してすいませんでした。……私これからどうなるんですか?」
「シルヴィ、君は女になったんだ」
「女? 私は最初から女ですが」
「君はもうそういう年頃だったのに僕は気付けなかった。君はお母さんになれる身体になったんだ」
「……おかあさん?」
僕は彼女の身体に起きたことを、医学書も交えて丁寧に説明した。
以前の悲惨で劣悪な環境がシルヴィの初潮を妨げ、大幅に遅らせていた。
新しいご主人様、つまり僕のもとでの栄養ある食事と規則正しい生活と……毎晩の愛の交わりが、彼女に来るべきだった女としての成長を遂げさせていた。
「……という訳で、君は毎月卵子を産みだし、赤ちゃんを作れる大人の身体になったんだ」
「せ、先生!」
「でもね、シルヴィ」
瞳を輝かせ、ハートマークを飛ばし始めた彼女に、僕は言葉を続ける。
「今の骨盤、いや、その身体ではまだ赤ちゃんを産むには早すぎる。下手をしたら君も、君のお腹の中の赤ちゃんも死んでしまうかも知れない」
「え……」
シルヴィの顔が曇る。
「このベッドで君と毎晩行っている愛の営みも、少し考えないといけない」
「考えるって、何をですか?」
「今までと同じように膣内(なか)に出し続けていると君は妊娠してしまう。それはまだ早すぎるんだ」
「先生……」
「今日は何もしないでいいからゆっくり休んでなさい。お腹を冷やさな
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