暁 〜小説投稿サイト〜
ガールズ&パンツァー SSまとめ 西住みほと角谷杏(暴力シーンあり)
その1
[2/4]
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
「別に……。短い間でしたが、お世話になりました」
「……っ!」
パンッ!
言葉より先に手が出た。怒りで我を忘れた私は……思い切りみほの頬に平手を叩き付けた。
「大洗女子学園の生徒会長、角谷杏をなめるな。お前がはいと言うまで、お前も友達も絶対帰さ……」
頬を押さえていた西住の瞳が私を射すくめる。
光を失った瞳が冷たく凍え……蒼ざめた顔の唇の端が小さく歪んでいる。
全身から沸き立つどす黒い邪気を感じ取り、後ずさりしようとした瞬間……凄まじい質量が私の右頬を直撃した。
車に、撥ねられたみたいな。
……壁際の本棚に叩き付けられ、雪崩落ちた本の山に埋ずもれた事に気付くまで、しばらく時間がかかった。
脳が揺さぶられ、ひどい耳鳴りとめまいの後、割れるような頭の痛みが襲ってきた。
顔の右半分の感覚が無い。口の中で血の味がする……私はみほに、殴られたんだ。
本の山に埋もれ、ぼやけていた視界の中に、みほの顔が飛び込んでくる。
また、唇の端が歪んでいた。
「……あ、ごぼっ」
片腕で胸倉を掴まれて吊り上げられ、息ができなくなる。
女の子の腕力じゃない。戦車道を、西住みほをなめていたのは……私だった。
「角谷杏会長。私は戦車道をやりたくないんです、分かって下さい」
「あ、ああ……」
表情は変えぬまま、狂気を宿した茶色い瞳がぎらぎらと光る……人殺しの目。
「この学園を統べる立場にありながら、物の頼み方1つ知らないんですね……こんな人が生徒会長だなんて、失望しました」
「や、やってよ、せんしゃ……」
2発目が、私の左頬に浴びせられる。
ごんっ!
どうやら私は壁に頭からぶつかったようだ
視界が暗くなる、ごうごうと耳鳴りがして頭が割れそう。
意識が飛ぶ寸前、遠くでみほの声が聞こえた。
「さようなら、転校届は後日出しますから」
「……ま、まっ」
脳がまともに働かない状態で……わたしは意識を飛ばしかけたまま立ち上がり、よろめきながらみほに追い縋る。
「に、に、にし」
「しつこいです。会長、死にますよ」
「し、し、しんで……」
死んでもいい。
この学園が無くなるなら……柚子と桃と、みんなとバラバラになるなら、死んだ方がマシだ。
「しぬ、わたし、にじずみちゃ、にげられたら、じぬ」
死んでもいい。いや、死ぬ。
私は血の味のする口をおずおずと開き、自分の歯で傷ついた舌を思い切り伸ばした。
ぼろぼろと涙が零れる目をぎゅっと閉じ、がくがくと震える身体をどうにかこうにか抑えつける。
「ひは、ひははんえ?、しう!」
思い切り顎に力を入れ、歯を食いしばる。
床に私の一部が血と共に零れ落ち、私は窒息して、失禁して……大洗の最期を見届けず、息絶え……。
「はひゅっ!?」
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ