エリカとカチューシャ、ちょっとノンナ
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の元に向ける。
背の高い黒髪、青い瞳……ブリザードの、ノンナ!!
「あわ、あ、あわわ」
動けない。動いたら、殺られる!
足音1つ立てず無音で近づいてくるノンナを前にエリカは完全にすくみ上り、金縛りに遭う。
……首を折られるか、手刀で心臓を一撃か、それとも???
無意識に抱っこしているカチューシャをぎゅっと握り締めると、その手にノンナの指が触れた。
……あ、死んだわ、私。
エリカの魂が肉体を離れ、天に召され……る前に、ノンナはそっとエリカの指を、手を、腕をカチューシャから離していく。
そして、寝ぼけまなこのカチューシャを抱き寄せると、表情を一変させ、慈母のように背中をさすり、頭を撫で、子守唄を歌い……その場で寝かしつけた。
「…………」
「黒森峰女学園副隊長の、逸見エリカさんですね?」
再び、強烈な青い眼光が襲ってくる。
こくこく。固まったままのエリカは、首だけを上下に振る。
「同志カチューシャはトイレもしくは怖い夢を見て自分の部屋を離れ、この私……ノンナの部屋に来ようとして誤って領土を超え隣室の逸見エリカの部屋に侵入した」
こくこく。
「そして逸見エリカをノンナと勘違いして一緒の布団に眠り夜半に尿意を覚え、トイレまで連れていくことを要求した」
こくこくこくこく。
「カチューシャにキスをしたり胸を触ったり……その他の猥褻行為に及んだ」
ぶんぶんぶんぶん! 首がすっとんびそうな勢いで思い切り横に振る。
「つまり、同衾以外のいかがわしい事は一切していない。Да? Нет?」
「……だ、Да! Ja! イエス!」
カラカラの喉からどうにかこうにか声を振り絞ると、ノンナがようやく表情を緩め、ほっと小さく息を吐く。
「我がプラウダの隊長がご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありませんでした」
「いいいいいいいいいえととととんでもごございません、どどどいうたしまして」
「……ところで」
「は、はいぃ!?」
静かな呼吸を繰り返すカチューシャを抱きかかえながら、ノンナがにやーっ、と、恐ろしい笑みを浮かべる。
「黒森峰の副隊長は、隣でプラウダの副隊長が泊まっているにも関わらず鍵を掛けるのを忘れるほどの不用心……なのですか?」
翌朝。
同じ時間に起床し、同じ時間に洗面所を使い、同じ時間に朝食を摂る黒森峰とプラウダの一行は……昨日よりは少し打ち解けていた。
互いに軽く挨拶を交わし、食堂の真ん中に置かれた炊飯ジャーやお茶のポットを譲り合う。
「一時はどうなる事かと思いましたが、特にトラブルも無く朝を迎えられて良かったですね、隊長」
「そうだな赤星。ところでエリカを見かけないな、知らないか?」
「そういえばそうですね。……寝坊でしょうか?」
「あいつにしては珍しいな、おい、
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