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ガールズ&パンツァー SSまとめ
園みどり子(そど子)と冷泉麻子
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や、人として許せない!」
「うるさい、お節介、帰れ」
「帰らない」
「帰れ!」
「帰らない!」
 涙の跡の残る顔を上げ、きつくそど子の顔を睨み付ける麻子の目が彼女を見た瞬間わずかに緩み、驚きを浮かべた。
「そど……子……?」
 彼女の顔も麻子を睨み付けていたが……その瞳は潤み、頬を涙が伝っていた。
「なぜ、泣く」
「あなたが、悲しんでいるからよ」
「お前は本当にお節介だ……そど子」
 麻子はパジャマの裾で涙を拭い立ち上がると勉強机に向かおうとする。
「ちょっと、こんな夜遅くに何する気!?」
「もう寝たくない、本を読む」
「ちょ、ちょっと! こんな時間から起きてたら朝起きれなくなるでしょ!?」
「朝、私を起こすために来たんじゃないのか? そど子」
 椅子に座ろうとする麻子の手を両腕で掴み、そど子が大きく首を横に振った。
「生活指導よ。ちゃんと寝なさい! 麻子」
「先に寝てろ、私はもう寝ないから」
「そういうわけにはいかないの。ちゃんと1時間目から起きて授業を受けられないようにしないと!」
「はっ」
 鼻で笑った麻子が、手を引っ張られるのに任せ、布団にどうっ、と転がる。
 そど子に背を向け、横向きに丸まった姿勢を取ると、軽蔑を込めた口調で言い放った。
「お前が私の背中を抱いてくれたら寝てやってもいい、できるか、風紀委員」
「…………」
 そど子の脳内を暗記で叩き込んだ校則が駆け巡る。
(――これは生活指導。同性間の不純交友の対象外――何より、泣いている生徒に手を差し伸べ、寄り添い……健やかな心身で正しい生活を送らせるのが――風紀委員の最大の目的ッ!)
「麻子っ!」
 数秒の間を置き、そど子は布団に寝転がり、麻子の背中に思いっきり抱きついた。

「……そど子」
「何よ?」
「……暖かいんだな」
「あなたの体温が低すぎるだけよ! 眠れるまで温め続けるわ!」
 パジャマ越しに上半身を密着させ、手を胸の前で絡ませ、長い黒髪に顔を埋める。
 豊かな黒髪から、昔から売られているシャンプーの香りが漂った。
「あなたの髪、懐かしい匂いがする」
「ママ――いや、母に選んでもらったのを、今でも使ってるんだ」
「そう……」
 ママ、の一言で、麻子の身体が震えだしたのを感じ取ったそど子が、更に強くしがみつく。
 両胸を細い背中に押し付け、肋骨の感触に触れた両腕を強く抱きかかえる。
「……ちょっと苦しい」
「あ、ごめんなさい。あなたが寝るまでずっとこうしてあげるから、あなたを――ひとりにしないわ」
「……子守唄、歌ってくれないか」
「え?」
「沈黙の中から……あの夢が這い出てきて私を苛むんだ。なんでもいい、耳元で歌ってくれ……それで少しだけ眠れるかも知れない」
「……」
 そど子は麻子の耳に唇を
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