ノンナとアンチョビ
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ラッグ車を孤立させ、固い防御を誇るマジノのフラッグ車を撃破しました」
「いや、あれはまぐれみたいなもので」
「戦車道にまぐれ無し。違いますか?」
ノンナの青い瞳が私を軽くねめつける。
「あ、ああ、確かに……」
彼女は、本題に……わたしを単身、このプラウダの学園艦に招待した本当の理由を明らかにし始めた。
「我がプラウダのドクトリンは後退して敵を引きずり込み、敵を包囲する……もしくは、圧倒的な火力で押し潰す」
「火力の差は圧倒的だ、とてもわがアンツィオ校が勝てる相手ではない」
「しかし……もしあなた方が我がプラウダに勝つとしたら、どう勝ちますか?」
「……え?」
「我々が取るべき試合の対策は……対戦校の戦力と伝統、隊長のドクトリンや戦略戦術を分析し、我々に対しどう勝つかを徹底的に考察する事です」
「……」
「弱小校相手ではそこまで分析する必要は無いにせよ……黒森峰やサンダース、聖グロリアーナ相手であれば、我々は敵方そのものになりきり、本気で倒す方法を編み出す」
「敵に、なりきる?」
「『プラウダがどうやって敵の攻撃を防げるか』ではなく『敵がどうやってプラウダを倒すか』を真剣に考える。旧ソ連が編み出した、サボタージュや破壊工作へのリスクマネジメントからの応用です」
プラウダが、ただ敵を包囲し、叩き潰すそのが全てのプラウダが、そこまで考え抜いて戦車道を戦っていた?
カチューシャの絶対的なドクトリンに従い……手足として動いているだけだったのでは?
ノンナの青い瞳から目を離せない、おもわず生唾を飲み込んだ。
「……尤も、これは同志カチューシャや私のような上官のみが行っている手法であり、一般隊員には指示通りの動作を徹底させます」
ああ、なるほど。
ここまでは理解できた、が、次のノンナの言葉は……私の想定を超えていた。
「失礼ながら弱小校とはいえ、[総帥(ドゥーチェ)・アンチョビの許で士気高く戦い……マジノを撃破し大洗女子と善戦した、あなた方の戦い方を学ばせて頂きたいと思いまして。……カチューシャは大洗女子を弱小校と見ていますが、西住みほがいる以上そうとは思えない」
「え? え!?」
そんな大層なものは無いんだよ、ノンナ。
「機動力とデコイによる攪乱、復帰が容易ななCV33の機動力と、M41セモヴェンテ、そして修理中だけどP40の火力……手持ちの戦車の特性を熟知し、あの子たちの出来ることを出来る範囲で精いっぱいやる。勝ち負けよりどれだけ戦車道を楽しめるか。それだけだよ」
「まぁ」
目を細め、ふっ、と微笑みを浮かべる。冷たさを帯びたぞくっとするような笑顔。
ブリザードと言われるだけある、氷の微笑。
「ではアンチョビ。もし手段を選ばず、いまの戦力でどうしても我がプラウダに勝たねば……例えば、
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