西住みほと逸見エリカと赤星小梅
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たのか!」
『は、はい!』
「お前たちは前回の試合で重大な命令違反を犯した。今日の試合で万が一同じ事をするようならば、即刻除隊だ」
面従腹背。
去年の大洗女子学園の隊長と黒森峰女学園の隊長が、大学で札付きの問題児になるなんてだれが予想していただろう。
西住まほ隊長が苦虫を噛み潰す。自分の妹と愛弟子が何でこんなことに……口に出さずとも顔にそう書いてある。
エリカもみほも、命令を聞かない。
突然隊列を乱して突撃したり、奇襲戦術やゲリラ戦を取る。
結果、勝利に貢献することもあれば、敗因となることもある。
2人まとめて西住流の名をけがす者。最悪の烙印だ。
だが、その烙印は勲章ではないのか?
逸見エリカと西住みほは、懲罰を受けながらも密かに笑いあっていた。
これが、私たちの戦車道だと。
試合のルールは殲滅戦。
当初は優位に立っていた西軍は、個別の火力・能力に勝る東軍に徐々に撃破されて戦力を削られていく。
戦力の立て直しを図るべく集結した戦車の隊列から、2台の戦車が反対方向に逸れていった。
「おい! 隊列を乱すな! 西住! 逸見! 戻れ、馬鹿者っ!!」
ぶつっ。無線を切り、周波数を変える。
「あんた! また命令違反する気なの?」
「そうだよ。何で付いてくるのエリカ?」
「あんたたち1台ぽっちで何が出来るのよ! 馬鹿じゃないの!」
「そう思うなら隊列に戻って。除隊されちゃう」
「馬鹿の尻ぬぐいの役目を誰がやると思ってるのよ!」
「逸見さん、みほさん、聞こえますか?」
無線にもう1人の声が割り込んでくる。
赤星小梅。西住まほ大隊長付きの護衛車。
「私が囮になり敵を引きつけます。その間を縫って存分に暴れて下さい」
「はぁ? 何言ってんのよ赤星、酔っ払ってんの!?」
「小梅さんの役目は大隊長の護衛です! すぐに戻って下さい!」
「副隊長……もといみほさん! エリカさん! 今更いい子ぶらないで!」
やれやれ、馬鹿が増えちゃった。エリカは数秒間こめかみを押さえ俯いてから、キッと前を見据える。
「そんなに地獄に落ちたきゃ付いてきなさい、みんなまとめて重営倉行きね!」
「エリカ、重営倉に入るのはいいけど……何台やっつけたらご飯のおかず1品くれる?」
「……3台、いや5台よ馬鹿みほ!」
「10台ならご飯全部ちょうだい、重営倉でエリカ飢え死にさせちゃうから!」
「エリカさん、ご飯半分あげますから心配しないで。みほさんの好きなように」
「うるさい小梅! 行くわよこのおバカさんたち!」
『応!!』
命捧げて出てきた身ゆえ
死ぬる覚悟で吶喊すれど
武運拙く討死にせねば
義理にからめた恤兵真綿
そろりそろりと頚締めかかる
咽頭マイクのスイ
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