西住みほと逸見エリカと赤星小梅
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みほ無き黒森峰の、西住流の正統な継承者。
戦車道の頂点。その立ち位置が最悪なはずはない。
心を侵す甘いifの妄想をテキストファイルに叩き付け封じ込め、涙に流し眠る毎日。
最悪で最高の高校生活。蔭で胃薬と鎮痛剤を呷り、緊張と恐怖に怯える隊員を睨み付け、煽って罵って奮い立たせる。
さぁ、明日は全国大会決勝戦。
(相手は大洗女子? 知らないわよ。何であの弱小校がまた決勝にいるのよ。
私はあの西住流そのもの、西住まほ隊長の元で生まれ変わった真の西住流の体現者。この逸見エリカが叩き潰してあげるわ!)
試合前の整列と礼。
あの西住みほ。エリカにとって最悪の西住みほは、にこやかな笑顔を浮かべていた。
「エリカさん、また決勝で出会えてうれしいです。正々堂々頑張りましょう」
「ふん。何で今年も決勝に上がってきてんのよ。まぐれでしょ、まぐれ」
「ふふ、そうかもしれませんね。でも、こうやってここにいるのは事実ですから」
握手に応じながら、頭痛と胃の痛みをぐっとこらえる。
この最悪のみほを叩き潰せば、悪夢は終わるんだ。
なんで最悪のみほは、こんなにも明るくて何の曇りもない青空みたいな笑顔なんだろう。
エリカはあの妄想をねじ伏せながら、目の前のみほを睨み付けた。
…………。
いつの日の事だろう。みほに写真を送るつもりで誤って『いつもの夢』の1つをメールで送ったのは。
気が付いた時には手遅れ。妄想が漏れて、みほに届いてしまった。
『今のメールは見ずに消して! お願い! 誰にも言わないで』
すぐに次のメールを送ったが、返事が返ってこない。
電話にも出てくれない。
どうしよう、どうしよう、どうしよう。
恥ずかしさと後悔で震える中で携帯が鳴る。
みほからのメール。恐る恐る開く。
たちまち、エリカの顔が真っ赤に染まり上がった。
エリカへ
メールおもしろかったよ
最後まで一気に読んじゃった
大学で…やっちゃおっか!
…………。
(エリカ、どうしたの? エリカ)
(ん、あ、ああ……あれ?)
(疲れてる? らしくないよ)
(誰のせいだと思ってんのよ)
試合前の作戦会議。
西住まほ大隊長率いる西軍は、島田愛里寿率いる東軍と大学東西戦を争う。
この試合に勝てば大学選抜の使用戦車や戦略戦術、メンバーやその他諸々、今後4年間すべての主導権を握れる。
いわば、西住流と島田流の覇権争い。
大隊長の作戦は真の西住流に則った、強力な砲に堅固な装甲。そして速い脚と鋭い頭。
戦力の集中をもって敵を圧倒し、撃破する。
去年エリカが取った作戦を、大学生の高い練度に合わせてより洗練させたもの。
「――説明は以上だ。おい、西住と逸見、ちゃんと聞いてい
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