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ガールズ&パンツァー SSまとめ
西住みほと逸見エリカ 西住まほと角谷杏
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明と黒森峰への指示、警察や関係各所への報告、だいぶ疲れたでしょう」
「ああ」
「もう少し、病室にいてもよかったんじゃないの? まほちゃん」
 馴れ馴れしい呼び方に一瞬眉をひそめるまほだったが、すぐに元の仏頂面に戻り、また一口、サイダーを飲む。
「あのさ」
「何だ」
「不躾でごめんね。黒森峰だからしょうがないと思うけど、もうちょっと、感情を出したっていいんじゃないかな」
「……そんな事を言うために私をここによんだのか」
「感情を押し殺し続けると……また、誰かが壊れる」
 会長がまほの隣の椅子に座り、幾分か上にあるまほの肩に手を寄せる……彼女は振り払うことなく、そのままに任せていた。
「部下が怪我をしているとき、窮地に追い込まれたり、傷ついているとき、そっと寄り添ってあげる誰かが要ると思うんだ」
「そういう人員は足りている。部隊の皆は自主的に考え、行動できるようになった……副隊長もだ」
「気を失った副隊長に寄り添って彼女が目を覚ました時、だれよりも先に抱きしめてあげて、涙を流す。黒森峰の隊長がそれをしてはいけないなんて掟、あるのかな」
「……」
「まほが慣れてないのかも知れない。けど、隊員と一緒に泣いて、笑う。それすらダメなのかなぁ?」
「……?」
 まほの顔が俯き、深い憂いを帯びる。
「分からないんだ」
「?」
「西住流の継承者として常に冷静さを要求されている私には、冷静に状況を判断し適切な指示を出す、それしか分からない」
 会長も俯き、次の言葉を探していたが……真剣な顔でまほの瞳をじいっと見つめ、ゆっくりと話しかけた。
「もしエリカが意識を回復しなかったら? 対処じゃなくて、責任感じゃなくて、感情で、ひとことで言ってみて」
「……つらい。悲しい」
「今は意識を回復して、西ず……みほちゃんがエリカの無事を涙を流して喜んでる、エリカもみほに会えて泣いてる。どう思う?」
「……嬉しい、ただただ嬉しい」
 会長のが目を細め、まほの手を握り締め、そっと耳元で囁いた。
「それを2人の前で言えれば、エリカもみほちゃんも、そしてまほもずーっとずーっと、楽になるよ」
「……」
 まほはただ黙っていた、しばらくの間黙り、顔を背け、そっと目頭を押さえる。
「出来ない。それは西住流ではない」
「人のために泣けるまほに、出来ないことは無いよ」
「否、西住流の名を背負っている以上は……」
 会長が、おもむろにまほに抱きつき、頬を擦りよせる。
「西住流じゃないんだ。西住まほ個人としての感情を、2人の前で素直に見せる。それすら禁じられているなんてことないよ」
「……やめろ、角谷」
 まほの瞳が緩み、とぽとぽと涙が零れ落ちた。
「とにかく、エリカが助かって良かったんだ。それを素直に喜ぼ……もちろん、まほの涙を誰かに言うな
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