西住みほと逸見エリカ 西住まほと角谷杏
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」
みほ? なんでみほがここにいるの?
まだ視界の定まらない薄ぼんやりとした意識から、口だけを動かして、一言喋ってみる。
「あなた、転校して……」
「ここは転校先の大洗だよ! エリカが乗ってたヘリが強風で煽られて故障して、この学園艦に不時着して……エリカが、エリカが!!」
みほ、その先が言葉にならない。
私の背中から、あの低い声が聞こえてきた。
「突然の暴風で機体に損傷を負ったヘリは、どうにか近隣を航行していた大洗女子のグラウンドに不時着できたが、着陸時の衝撃でお前は頭を打ち意識を失った。精密検査の結果生命に別条はないが、2日ほど安静が必要との診断だ」
あ。良かった。
隊長も無事だったんだ。
私がベッドに寝そべったままぽろぽろと涙を零すと、ベッドの高さに跪いていたみほが静かに頬を撫で、ぎゅっと手を握り締め直してくれた。
「良かった……エリカが無事で良か……うえ、うえぇぇ」
……あれ? みほ、泣いてるの?
西住流の娘でしょ……泣いちゃダメよ。
「何泣いてるのよみほ。ほら、こうやってちゃんと喋れるし、隊長の言ってることも理解できたわ」
「破損したヘリの部品が届くのは明日の昼、黒森峰の整備部隊と一緒だ。自動車部が修理に協力してくれると言っている、明後日の午前中には飛び立てるだろう。それまで十分に休養を取るように」
「了解しました。隊長」
隊長に礼をするつもりで身を起こしたが、めまいがしてまだどぉっとベッドに倒れ込んだ。
「駄目だよ寝てないと! お粥作ったからめまいが収まったら食べて、逸見さん!」
みほの友人の声が聞こえる。その間も、みほは私の両手を握り締め、涙を堪え軽く震えていた。
隊長が病室を出て行く、私とみほ、みほの友人が部屋に残された。
「大げさよみほ。たかが打撲でどんだけ心配してんのよ」
「……」
だまって震え、私のお腹に顔を埋めるみほの髪をゆっくりと持ち上げ、さらさらとかきあげてみる。
……みほの、懐かしい匂い。
次の言葉は、自然と、心の底から湧いてきた。
「ありがとう、みほ」
「良かった、エリカが無事で、ほんとうに……」
わたしのお腹で震えるみほの背に手を伸ばし、両手を組んでそぉっと抱き寄せた。
「逸見副隊長が無事で良かったね、西住隊長」
「まほ、でいい」
角谷杏生徒会長の自宅……高級学生寮。
高校生が住むにはいささか豪華に過ぎるダイニングキッチンで、所在無げに西住まほが座っていた。
「ま、これでも飲んで」
「……酒じゃないだろうな」
「茨城県産のリンゴサイダー。他校の生徒に酒をふるまうほど不用心じゃないよ」
会長がニコリと笑うと、硬い表情のまままほがグラスに注がれたほぼ透明の炭酸ジュースに口を付ける。
「ここに不時着してから状況説
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