西住みほと逸見エリカ 西住まほと角谷杏
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ないとね!」
「あ、うん……」
自室まで力なくよろよろと歩き、ぱたん、とドアを閉める。
……あの子は隊長より打たれ弱い所があるわね、まぁいいわ。西住流の妹……副隊長を甘やかすのは良くない。明日みほに話すきっかけを作って相談に乗ってあげよう……。
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「みほ? みほ!」
私はみほの部屋に向かう。そこで、私は重大なミスをしたことに気付きおののいた。
「みほっ!」
施錠されてない彼女の部屋……綺麗に片付けられ、学校から支給された寝具、制服、パンツァージャケット……のみが折り畳まれ、残されていた。
……何があったの? いったいなにが!?
机の上に置かれた、みほと私、ツーショットの写真と置手紙が飛び込む。
『エリカへ もう戦車道を止めなさい。お母さんにそう言われたの。だから戦車道の無い高校に転校することにしました。
ごめんね ■みほ』
震える文字で書かれた最後の名前がしずくで滲み、書き直されていた。
なにも言えずその場で固まっていた私の心に大きな大きな穴が開き……そこから後悔、悲しみ、怒り、涙、ありとあらゆる負がほとばしり出た。
「あ、あ、あ…………ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
空き部屋となったみほの部屋で泣き叫ぶ私の背中に、隊長の冷厳な声が聞こえた……ような気がした。
「逸見エリカ、聞け。2つの伝達事項が有る」
みほを失った私……エリカには2つの現実が残った。
西住みほは黒森峰を去り、転校した。
副隊長転校に伴い、逸見エリカが副隊長に昇格する。
「……みほ、みほ、なんで相談してくれなかったの、みほ、みほ……私が悪かったの? 教えてよ……みほぉ!! みほぉ! うわぁぁぁぁぁぁl」
しばらく泣いて泣いて泣き続けるしかなかった。ぽっかりと開いた心の穴に……大量の涙が流れ込んだ。
やがて泣き疲れて、空虚な涙の穴の中に身を沈め、眠りこんだ。
……これが夢だったら、よかったのに……。
「…リカ、……エリカ」
……誰かが、私の名を呼んでいる。
もういいわ、みほのいない世界なんて……悪夢、空虚。
この空虚を、戦車道のため……西住まほ隊長のために埋める覚悟は出来ている。
憎っきプラウダのカチューシャを丸裸にし、土下座でも命乞いでもさせて、今年こそは……。
みほが戦車道を始めたと聞いた……裏切者め、悲しみは全て憎しみに昇華させてやる、させてやるんだから……。
「エリカぁっ!」
どこかで聞いた懐かしい声がする。誰かが私の手を握っている。
あたたかい。
ここは、どこ、あなたは、だれ?
めまいがする、あたまがぼんやりとする。……だれ?
「エリカ、わかる? わたし! 西住みほ!
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