西住みほと逸見エリカ 西住まほと角谷杏
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窓の外、スズメの泣き声が聞こえる。今日は……休みだっけ?
私……逸見エリカは、横向きに寝そべり、掛布団を被って寝ていた。
そっと掛布団から顔を出し、目を開ける……頭の後ろから誰かの声が聞こえる。
「エリカ、お目覚めか?」
低くて、少し語気が強いけど……優しい声。
身を起こし、声の主の顔を見ようと顔を上げた時……眼の前の茶色い瞳が、私をじっと見つめていた。
「おはよ、エリカ」
あれ? あれれ?
状況が……分からない。
後ろから聞こえる声は……まぎれもなく西住まほ隊長のものだろう。
前から……この茶色い髪、茶色い瞳、にっこりとほほ笑む唇……みほ? 西住みほ!?
「み……」
何かを言おうとする前に、後ろから両腕が伸び、私の首筋をぎゅっと包み込む。
耳にかぶさる薄い銀髪をかき分け、少し赤くなった耳にぴったりと唇をくっつけ、低い声が囁いた。
「休みだからってお寝坊だな、エリカ」
「あ、あ、ああ……」
隊長の小さな声は少しだけかすれ、頭と心の奥深くまで沁み込んでいく。
エリカ、エリカ、エリカ……最後の言葉がリフレインする。
寝ぼけまなこの碧い瞳が、どろりと蕩け、また眠りの世界に沈み込もうとする時。
「エリカ、ダメだよ起きなきゃ」
眼の前の、明るく弾んだ声と丸く開かれた茶色い瞳が、にっこりとほほ笑んだ。
西住みほ……元副隊長が、なぜここに?
「……みほ……?」
現実と夢の境目、現実と妄想の境目、こちらの世界と……あちらの世界?
ここがリアルかどうかも分からず、目覚めたばかりの頭で、一言、悲しい離別を経験した元副隊長の名を呼ぶ。
「エリカ? 休みでも身体が鈍るからジョギングくらいはしなきゃって」
「そう言い出したのはエリカ……お前じゃないか」
前と後ろから、西住姉妹の、低いまほの声と、高いみほの声が、甘く優しく響く。
「え? あー」
「……」
ふっ、と鼻で笑う小さな声が聞こえたかと思うと、背中にまほの手が差し入れられた。
「ひあああああんっ!!」
まだ少し寒さの残る春の日、ベッドから出ていたまほの手は冷たい。
背中をつうっと撫でられると、普段の口調からは考えられない素っ頓狂な声が飛び出した。
「あはっ、エリカ変な声、可愛い」
まほの女の子にしては少し太く厚い手の平が背中を擦ると同時に、上ずった声のみほが目を細め胸に抱きついてくる。
背中を優しくさするまほの手、耳に吹きかかる熱い息。胸に顔を埋め、さりげなく手を握り締めてくるみほ。
「あ、ちょっと、たいちょ、みほぉ……だめ、起きられなくなっちゃ、ふやぁぁぁん!!」
反則です! 甘噛みは反則です! 隊長ぉ!!
歯を当てず、唇だけで赤く染まった耳を咥えるまほの仕草にかぁっと体温が上がる。ちょっと涙をうか
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