西絹代とアンチョビ
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を覚ましてしまう!
「おっと!」
よろめいた私を抱き止める2本の腕。
柔らかくしなやかな素肌に抱き止められた私の意識が舞い上がった。
「アンチョビ殿、アンチョビ殿!」
「姐さん、アンチョビ姐さん!」
「うーん……あ、あれ?」
目を開けると……西とペパロニの心配そうな顔。
「姐さん大丈夫っスか? 風呂に入るなりのぼせちゃったって西さんから聞いて……」
「あ、そうか、私、西……隊長と一緒に」
「急にふらついたので心配しました! 大丈夫でありますか!?」
「うん、大丈夫。申し訳ない……ごめん」
私は脱衣場のソファにタオル1枚で寝かされていた。
白シャツに葡萄色のスーツに着替えた西。その姿を見た私は顔がぼうっとなり、思わず内股になってしまう。
「姐さん、また顔が真っ赤っスよ!」
「ペパロニ殿、自分がアンチョビ殿を部屋までお運びします!」
なんという事だろう。
私は二人の手で服を着せられた後、西に抱えられ部屋まで運ばれてしまった。
風呂から部屋まで抱っこされてる間、私は西のスーツの裾を掴み、ずうっと彼女の顔を見上げていた。
ベッドに寝かされ顔を火照らせたまま、ぜえぜえと浅い息を繰り返してると、西が私の服のボタンをはだけさせる。
「息が苦しそうなので……失礼します」
シーツをぎゅっと握り締める、ますます動悸が酷くなる。目にじんわりと涙が浮かんだ。
「姐さんっ、お医者さん呼ぶっスか!?」
「大丈夫、寝てれば治るから……」
……お医者さんで治るものなら簡単なんだけどね、ペパロニ。
「申し訳ありません! 突然お邪魔してこんな事になるなんて」
西が跪いてそっと私の手を取り、頭を下げる。
こいつは……天然の女誑しだ!
「こちらこそ心配かけてすまない。こんな事今まで無かったんだけどなぁ……疲れてたのかな」
「お礼はまたいずれさせて頂きますので。本日は失礼いたします……どうかお大事に」
彼女は心配そうな顔をしながら、一礼して部屋を出て行く。
やがて窓の外からバイクのエンジンをキックする音が響き、軽やかなエンジン音が遠のいていった。
「ペパロニ」
「何スか、姐さん」
「手、握ってくれないか」
「……」
ペパロニが黙ってベッドの側に座り、放り出した私の手を包み込んでくれる。
すう、はぁ、と、深呼吸を繰り返しているうちに、高鳴った心臓もだんだんと落ち着きを取り戻してきた。
「珍しいっスね」
「ああ」
「負けちゃったんっスか」
「……」
ペパロニは手を握ったまま顔を背けている……こういう時、私がどんな顔してるか知っている子だから。
「今度は知波単にカチコミっスね」
「止めとく……戻れなくなりそうなんだ」
「本気になっちゃったんなら止めないですよ。ドゥーチェ」
「ば
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