暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第五話 学生生活
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た。

 ――――と同時に、教室の空気が変わった。

 ドアから入ってきた俺に視線が一気に集中し、俺は一瞬だけ怯んでしまう。

 気配、感情、好奇心、興味、観察。

 それら様々なものが込められた視線が俺の全身に向けられる。

 魔導師として、色んな人や敵の視線を体験してきたからわかる。

 皆、視線が一箇所じゃないんだ。

 頭から足まで、人の目にレーザーが付いていたら全身風穴ってレベルの視線。

 だけど殺意や悪意が無いぶん、どこか安心できた俺は再び歩き出し、担任の先生が立っている教壇へ上がる。

「天龍、取り敢えず黒板で名前を書いてくれ。 文字は大きくな?」

「あ、はい」

 小声で指示を出された俺は、生徒から背を向けて黒板を正面に立った。

(ううっ、背中に視線が突き刺さる)

 今まで、殺意や悪意の視線を大量に受けてきた俺にとって、それとは真逆の感情で向けられる視線に慣れないでいた。

 廊下にいるまではワクワクしていた感情は、ドキドキと不安で冷や汗がダラダラ流れている。

 少し震える右手で白いチョークを握り、黒板に名前を書いていく。

(おおっ……!?)

 実は黒板とチョーク、この組み合わせを使うのが始めてだった俺は心の中で声を上げた。

 俺たちの世界じゃデバイスなどに搭載されているプロジェクタ機能から表示される画面にタッチして操作するだけ。

 黒板とチョークなんて、きっと何世紀も昔の話だろう。

 それを今……と言うかこれから数年間、当たり前のように使っていくことになる。

 これはきっと艦のみんなへ面白話しとして使えるネタになるかな。

 俺は書ききったことを確認し、チョークを置いたら手を払って再び生徒のほうに振り返った。

 担任の先生もそれを確認すると、俺のことを少しだけ説明してくれた。

「今日から皆と一緒に授業を受けることになった小伊坂 黒鐘だ。 元々は学年が変わった時と同時に入学する予定だったが、家庭の事情で今日になったらしい」

(ああ、そう言えばそう言うことになってたな……)

 この学校に入学する理由を思い返しながら、俺は教室の生徒一人一人を見渡す余裕ができた。

 転入生が男だったからか、男子の喜びは女子より低めに感じる。

 まぁ友達増やすんだったら同性の方が楽だから、と言う安堵感はあるだろうけど。

 対して女子の目は男子とは全く違っていた。

 何というか、期待しているような眼差しと言うか、キラキラしていると言うか。

 先生に気づかれない程度で女子同士の会話がコソコソと行われているし、その光景はかなり楽しそうに見える。

(こ、これは、期待に応えられなかったときの落胆がデカそうだ)
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