暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十二話 皇帝不予
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
場合、帝国は遠征軍の補給等を支援する余力はなくなります。最悪の場合、敵地で補給切れが発生し大敗を喫する可能性があります」

それだけではない。国内情勢しだいではミュッケンベルガーは亡命しなければならなくなる。しかし、あの老人にそれは出来ないだろう。となれば自殺となりかねない。
「不運だな、ミュッケンベルガーも」
エーレンベルクが呟く。あそこまで攻め込みながら撤退しなければならないミュッケンベルガーの事を思ったのだろう。

「それとリヒテンラーデ侯にお願いがあります」
「なんじゃ」
「先ず、陛下の御病状を発表してください」
「馬鹿な。卿は何を考えている」
シューマッハ中佐が異議を唱えるが、俺は引くつもりは無い。

「下手に隠すと後々責任問題になります、公表しましょう。その上で、“これを機にゴールデンバウム朝に敵意を持つものあり、皇位継承の有資格者を守れ”との命令を出してもらいます」
「それで、どうするのじゃ」
「小官はその命令を受け次第、ブラウンシュバイク、リッテンハイム両家を憲兵隊で取り囲み、いかなる意味でも人の出入りを禁じます」
「軟禁するのか」

「いえ、警護するのです。一番まずいのは貴族たちが集まって無責任に騒ぐ事です。暴発しかねない。だからブラウンシュバイク、リッテンハイム両家を隔離します」
「なるほど」
「それと夜間の外出を禁止する命令を出します」
「うむ」

「それから、宮中においても“陛下御病床にあり、騒ぐ事を禁ず”と命令を出してください。むやみに騒ぐものはこちらで取り押さえます」
「大丈夫か、押さえつけるだけで」
「いざとなれば馬鹿な貴族を二、三人殺します」
「!」

「彼らは自分たちの利のために騒いでいるのです。死ぬためにではありません。危険だと思えば不満には思ってもおとなしくするでしょう」
おとなしくなって欲しいもんだ。厄介な事になった。

 それにしてもフリードリヒ四世はどうなるのだろう? ここで死ぬような事があるのか? 原作では来年死ぬはずなのだが早まったか? いや待て、原作でも一度重態になっている。但しアルレスハイムの会戦があった時だから帝国暦483年、今から三年前だ。こっちではそんな事は無かった…。どうなっている。

 もしフリードリヒ四世が死ぬような事になった場合キャスティングボードを握るのはミュッケンベルガーか。リヒテンラーデ・ミュッケンベルガー枢軸が出来る? まさかな、そんな事が有るのか、ラインハルトはどうなる? 現時点では一艦隊司令官に過ぎない。ほとんど何も出来ないだろう。

 何とかフリードリヒ四世には健康になって欲しいものだ。全く先が読めなくなった。
ミュッケンベルガーが戻ってくるまで一ヵ月半はかかるだろう。それまで持たせる事が出来るか?最悪の場合、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ