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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第50話 力の大妖
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た。


「……《力の大妖》か」


 モカを中心に沸き起こる圧倒的な妖力。……その強大な妖力をそのまま《力》に変える事が出来たとすれば……? 圧倒的な力となる得るだろう。《力》では最強と呼ばれる所以もよくわかる。まだ、完全に封印が解けた訳ではないのにも関わらず、判った。
 そして、この場所の全てが震えているような感覚が走った。


「うおおおッ!? なっ、何ィいッ!?」

 妖怪のクラスで言えば、ただの小者と言っていい、砕蔵。
 そんな男が、これ程の圧力(プレッシャー)に気圧されでもすれば、叫ぶ事は出来ても、身動き1つ取れないだろう。

「これが…モカの……力」

 カイトは、砕蔵からこれ以上危害を加えられない様に、と倒れた月音の側で、肌で感じていた。
 覚醒した、モカの力を。


「…う…ん…」


 月音も、圧倒的な存在感を感じたのだろう。気を失いかけていたのにも関わらず、まだ意識を保つ事が出来た様だ。

 そしてモカの言葉を、『怖いバンパイアになる』と言った事を思い出した。


「(モカさんの髪が…銀色に…)」


 月音は、痛む身体を、起こしモカの方を見た。

「月音、無理をするな。起き上がれる様な身体じゃないんだぞ」

 今にも倒れそうな月音を支えたカイト。だけど、月音は 首を振った。

「あ…ありがとう… でも…あ、あのモカさんは………」

 自分の身体よりも、モカの事が気になった様だ。

「――あの姿が、モカの正体。と言う事だ。妖怪は、人間に化けて この世界で生きている。人間ではなく妖怪の姿。――バンパイアだ」

 モカは、ただ立っているだけだ。なのに、それだけで威圧される。

 まだ、日が沈むには早い時間帯なのにも関わらず、モカを中心に夜の闇がさらに深まっていく様だった。眷属であるだろう蝙蝠の群れが周囲を飛び回る。……いや、実態はない。妖力が形を成し、具現化した様だ。

 そして、傍で ただただ、その姿を恐ろしく見ていたのは砕蔵だ。

「な…何だ コイツッ… こ…この威圧感ッ……、 別人だ! こいつは、赤夜萌香じゃない!!」

 砕蔵は、身体中を震わせていた。決して止まる事はない。そして動く事も出来ない。

「……お前は、そんな言い方するな。あいつは、同じモカだ。今のあいつも、さっきまでのあいつも、何も変わらない」

 カイトは、まだ慣れてはいないが、快復の術。大気に住まう精霊術を使用して、月音に応急措置をした。相手の自然治癒能力の向上を促す力も併用させて。

 全てを終えた後、カイトは砕蔵を見ていた。

「なっ!! 何でッ テメェはこの威圧感の中ッ そんな簡単に動けてんだよッッッ!!」

 モカの威圧感を見て驚き、
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