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ロザリオとバンパイア〜Another story〜
第50話 力の大妖
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とりえも無いやつだよ…」

 そして、……必死に自分の想いを…、言葉に繋げた。

「でも…気付いたんだ このまま逃げ帰ってモカさんと…別れるなんて嫌だ… オレはモカさんと友達になりたいから………」

 その言葉にモカは目を見開いた。信じられない様な表情をして。

「たとえバンパイアでも……… オレはモカさんの事、 好きだよ…」

 想いを全て、伝える事が出来た。返事を訊く事は出来ないかもしれない。

 もう……意識を保ってられなかったから。緊張が解けてしまった様だ。

 だけど、最後の最後で、月音は男を見せた。圧倒的恐怖を前に、決して怯まなかった。

「それでこそ……、男だな月音。オレは心底尊敬するよ。……よく頑張った」
「カイト……」

 つくねの視界にカイトが映った為、意識をもう一度、もう一度だけつなぎ止めた。そして、必死に片手をあげ、親指を立てた。

「ああ」

 カイトも、月音に返事をした。

 

 カイトが到着したのは、本当についさっきだ。……100%の予知と言える遥か昔の記憶。その全てが、時と共に、薄れてきている。生前の自分が消え去り、本当の意味で《カイト》と言う名の男になりつつある。

 だからこそ、駆けつけるのが遅れてしまったのだ。
 そのことには、後悔した。――初めて、ここで出来た《友達》を守れなかった、と。

 だけど、月音は決して弱くない。強い心を持っている。決して屈しない強い心を。カイトは、それを魅入ってしまったのだ。――月音やモカには申し訳ない、とは思うが……。


「何言ってやがるッ!オレを無視しやがってッ!!寝てろやカスがーーーッ!」

 今の今まで、忘れられていた砕蔵。

 恐らく、無視され続けた、と言う意識があったのだろう、溜飲下がった筈なのだが、また怒りに身を任せ、月音を蹴り上げ様としたのだ。


「つくねーーーーーーッ!!」
「……テメェ、それ以上は……! っ!?」


 その刹那だった。もう、動く事さえ出来ないであろう月音は、伸ばした手をモカに。


「(に…逃げて… モカさん………、ここ、から……)」

 
 だが、モカに届く寸前で力尽き、腕が下へと落ちてしまった。


 そして、モカの胸の十字架(ロザリオ)と共に………。



「えっ……、う…、うそ……… 十字架(ロザリオ)が…、 外れ…た?」



 モカの力の源を封じていた封印の十字架(ロザリオ)
 それが、月音の何かに反応したのだろうか。封印と言う者は 簡単に解く事が出来ないから、封印と呼ぶのだ。それが、力を封じる類の物であれば尚更だ。だが、決して力が入っているとは言えない月音の手。封印を解いたのは、月音のモカへの想いだっ
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