賊に支配された村
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あれからさほど無理することなく一刀は修行に打ち込んだ。
荊州南陽には順調に向かっている。
今は森林が生い茂る街道を歩いている。
ここを超えて少し歩けば、南陽に着く筈だ。
俺達は雑談でもしながら歩いていると、近くの茂みががさがさと揺れる。
ここは森だ。
熊などが出てきてもおかしくはない。
軽く剣を掴みながら、警戒する。
茂みから出てきたのは肩や背中に矢が刺さった男性だった。
俺達は驚きながらもその男性に近づく。
「おい、大丈夫か!?」
一刀は男性の容体を確かめながら声をかける。
星は馬から包帯などを取り出し、怪我の治療をする。
旅を長くしているからか、その手際が良かった。
男性の方も矢は刺さっているが気は確かのようだった。
俺は男性が出てきた茂みの奥に視線を向ける。
もし彼が獣にやられたひっかき傷ならまだ自然と言える。
だが、森の奥からそれも何本も矢が刺さっているなど自然ではない。
眼を凝らすと奥に人影が複数見えた。
彼らには弓や剣などを持っている。
彼らは何かを話し合うと、そのまま森の奥に消えていく。
警戒を緩める事無く、俺は怪我の治療に手伝う。
「あ、ありがとうございます。」
「何があった?」
俺が聞くと、男性はゆっくりと話し始めた。
「私はこの森の奥にある村の者です。
私達の村は貧しい村ですが、それでも協力し合いながら生きてきました。
ある時、賊の集団が私達の村を襲いに来たのです。
その時は私の村にとても強い人がいたので撃退する事はできました。
ですが、賊達は諦めていなかった。
奴らは村の子供を人質にとり、その人も自分の娘を人質にとられたのです。」
「ひどい。」
一刀は率直な感想を口にする。
男性は涙ぐみながら話を続ける。
「賊達は私達を殺さず飼う事を選びました。
子供達を殺されたくなかったら、食料を提供しろと。
ただでさえ、貧しい村なのに賊達の言い様に喰われていき、今では生きてくだけで精一杯な状況です。」
「反撃の隙はなかったのか?」
星が質問すると男性は大きく首を横に振る。
「私達の村で唯一戦えるその人は腕を買われ、賊側の用心棒として連れて行かれました。
その人はとても強くて優しい人です。
私達が幾ら束になっても敵いません。
でも、その人は雇われている立場を利用して自分が食べる筈の食料を渡してくれたり、食料を横流ししてくれました。
ですが、それでも限界はあります。
だから、私達は決意したのです。
この村を救ってくださる人を探しに行こう、と。
近くの街まで行き、誰かに助けて貰おうとしましたが、村を見張っていた賊に見つかってしまい今に至るのです。
貴方達が居なければ、ど
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