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我が剣は愛する者の為に
賊に支配された村
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「うるさい、黙って休んでいろ。」

俺は星に頼んで水の入った竹で出来た水筒を貰う。
それを一刀に渡して、地面に座る。
一刀は俺が休む所を見てゆっくりと俺の隣に座る。
星は空気を読んだのか、少し離れた位置で休憩している。
水を飲んで落ち着いた一刀に話しかける。

「落ち着いたか?」

「ああ。
 でも、休んでいる暇は。」

「確かにないな。
 こうしている間にも不幸になっている人もいる。」

「だったら!!」

「それでも、お前が無理して身体を壊したらどうする?
 二度と剣も振る事のできない身体になったらどうする?」

俺の言葉を聞いた一刀は黙り込む。
言いたい事をちゃんと理解しているようだ。
俺は言葉を続ける。

「剣を振るうだけが全てではないが、それでもお前には前に立ってほしい。
 焦る気持ちも分かるが、まずは自分の身体を大事にしろ。
 お前は天の御使い。
 この国の民の希望でもあるんだ。
 そんな奴が身体を壊したら話にならないぞ。」

「そう・・・だな。
 悪い、何か焦っていたみたいだな。」

一刀は力のない笑みを浮かべて言った。
俺は拳を突き出す。

「お前が道を外れそうになったらそれを正すのが俺の役目。
 それは逆も言える。
 俺が外れそうになったら頼むぞ。」

「ああ、任せてくれ。」

突き出した拳を自分の拳と軽くぶつけ合う。
少しリラックスしたからなのか、眠気が襲われた一刀は気がつけば寝息を立てて寝ていた。
好きなだけ寝させてあげよう、と思いそのままにする。
場を見計らって星が隣に座る。

「すまんな、気を遣わせて。」

「構いません。
 一刀殿は無理をしていたのは私も分かっておりましたから。
 しかし、お二人の間には揺るぎ無い絆がありますな。」

「そうか?」

「そうですよ。
 少し羨ましいです。」

星は膝を腕で抱える。
二人の間に言葉がなくなり、一刀の寝息が聞こえるだけだ。
ふと、星の方を見ると星がこちらを向いていた。

「何か用か?」

「いえ、一人一人をちゃんと見て気遣う優しさ。
 縁殿は王に向いているのかもしれませんな。」

「何なら、俺の所に仕えてみるか?」

冗談半分で言ったが満更でもない表情で星は言う。

「それも良いかもしれませんな。」

「えっ・・・」

「ん・・・んん・・・あ、れ・・・?」

その時、人知れず寝ていた事に驚きながらも一刀が起き上がる。
それに合わせて星は立ち上がり、馬の世話をする。
一刀は眠そうに欠伸をしながら聞いてくる。

「ふわぁぁ〜〜〜〜何かあったか?」

「いや、別に。」

結局、星にあの時の言葉を聞き返す事はなかった。


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