第6章 流されて異界
第138話 反魂封じ
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。闇と虚無。重度の熱傷。爆発、爆発、爆発!
そして、精霊の守りだけでは殺し切れなかった最後の熱風が蒼の髪の毛を打った。
但し、俺に取っては心地良い風。この程度なら、生命に害はない。
「あんた、何を考えているのよ!」
そして、かなり怒った。しかし、その中に強い安堵の色を籠めた彼女の言葉。
そう、この短い瞬間に起きた出来事は――
既に自らの体感時間を人類のソレから神の領域へと高めていた俺。
刀印を結び、点穴を打ち込んだ瞬間、それまで待機状態であった術式が完全起動。既に供給過剰状態となっている龍気をドンドンと消費しながら、空中に次々と魔法陣が浮かんでは集束して行く。
術式の複数同時展開。今の俺に為せる限界の術。
そして、その俺の行に対応するかのように一段と光輝を増して行く晴明桔梗に呼応して、左手に構えるターコイズもまた蒼白い光を発し始めた。
大丈夫、未だ間に合う!
しかし!
まるで闇自体が燃え上がるかのように存在していた人影。本体は何処か別の場所に居ながら送り込まれた這い寄る混沌の分霊――炎の巨人からおぞましいまでの瘴気が発生。
赤い、朱い、紅い火の粉が踊る。
立ち昇り、拡大して行く瘴気。すべての光を遮るその姿は、人間が持つ根源的な恐怖を呼び覚ますに相応しいシルエット。その禍々しき気配が、晴明桔梗、そして何より俺自身が発して居る精霊光に匹敵するほどの勢いを得た次の瞬間――
ぐしゃり、と音を発するかのように潰れた。
まるで肥大した挙句、自らの重さに耐えかねるかのようにゆっくりと……。
……いや、違う。これは潰れたのではない!
数十、数百の細長い物体。炎で形成された蛇、もしくはある種の頭足類が持つ触手じみた物体へと分化!
対してこちらは、未だ封印は完了せず。俺の周囲を護る精霊光を完全に取り囲むように、炎の人型が転じた触手モドキが――
――すべての生きとし生ける物を冒涜する動きを繰り返しながら、まるで潮の流れの中をゆっくりと泳いでいるかの如き雰囲気で……。しかし、現実には物凄い勢いで俺を護る精霊光と接触。
光に触れた瞬間、それまで以上に強烈な光が発生。その光が俺の視力を奪い、双方の気配が消滅。
次々と。次々と消えて行く精霊光。その光が消えた空間に存在するモノはなし。ただ、昏き空間……虚無のみが存在するだけ。精霊も、そして悪しき気配もすべて消え去っている。
しかし――
しかし、拮抗は一瞬。徐々に勢いを増す炎の触手。上空から。地を奔るように。そして、まるで大地の底から湧き出すかのように、次々と俺の周囲を埋めて行く炎の触手群。
一時的に虚無へと塗り変えられた空間に炎の触手がすべり、ぬめり、嘗め尽くして
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