第6章 流されて異界
第138話 反魂封じ
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怨み。更に、その間ずっと影響を受け続けて来たアラハバキの呪いの大きさがこの瞬間に理解出来た。
しかし……。
成るほど。矢張り、コイツも自らの事を神に選ばれた英雄だと思い込んで居たのか。もっとも俺の意見を言わせて貰うのならば、そんな物に――誰だか分からない相手に選ばれる事などに価値はないと思う。
所詮、便利に動く駒として利用され、必要がなくなれば簡単に処分される。
神に取って、人間の中から選んだ英雄などその程度の代物。
例えそう言う扱いであったとしても、成りたがる連中は後から後から現われるのだから、神と呼ばれる連中に取ってやり易い世界だと言う事なのでしょう。
――くだらない話だ。
ヤツ……犬神使いが立つのは神籬の中心。彼我の距離は未だ十メートルあまり。その叫びを発した後、手にした野太刀を下段に構え、風を切る速度で急速接近を開始!
真正面からの突撃。ただひたすら、目の前の敵を斬り裂くと言う強い意志!
しかし、遅い!
澄んだ弦音――鳴弦が響く! 邪まなるモノを穿つ神道の秘奥義は、何もない空間に波紋が広がるかのような形で一瞬の抵抗を示した後に、神域を司る注連縄を貫き――
その瞬間、犬神使いの青年を護って居た邪悪な神籬が消滅!
体内に渦巻く力を誘導。元々、霊的な馬鹿力を発動させるのは得意としている俺。供給過剰と成って居る龍気に向かう先を示してやる事ぐらい訳はない!
裂帛の気合いと共に刀印にて空を斬る。
刹那! 虚空に描き出された晴明桔梗が放たれ――
元々ヤツが持って居た人間離れした身体能力と、怒りに因る限界突破。昨夜の犬神使いの青年の動きから考えても、この場は五割の能力増加で一瞬の内に彼我の距離がゼロに。
通常の刀と比べると、非常に大きな間合いを持つ野太刀。その反則気味の間合いに俺を捉えた瞬間!
走る勢いと、ヤツ本来の膂力。更に、大きくバックスイングを取る事により発生した威力に、元々野太刀の持って居た重量を加えた横薙ぎの一閃。
踏み込んだ左脚が大地に悲鳴を上げさせ、振り抜こうとする野太刀が巻き起こす衝撃波が扇型に広がる!
銀がかがり火の紅い光を反射し、虚空に優美な弧を描く長刀。おそらく、人界……表の世界トップレベルの剣の達人であったとしても、この一太刀を躱す事はおろか、受ける事さえ出来ず両断されていたであろう。
しかし!
「な! 何?」
何の捻りもなく突っ込んで来た犬神使いの青年を正面から迎え撃つ晴明桔梗。巨大な円が発する光と、暴風と化した横殴りの一撃が正面から衝突!
一瞬、暗闇に包まれたこの空間に、数百のカメラに因るフラッシュが一斉に焚かれたかのような強烈な光が発生。
眩い光輝により、完全に視力を奪われる時間。
その僅か
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