第百一話
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貰ったんだっての!」
「妙に重いベルト」
……いや、本当にそう言う他なく。両腕で抱えなくては持てないほどの、妙に重い漆黒のベルトだった。もちろん伝説級ないし銘有り武具ではあるだろうが、帰って《鑑定》スキルを使わねば名前すら分からないものだった。トールの分身である《雷鎚ミョルニル》より、知名度が低い代物だろうか。
「よし、それじゃ――」
使えない代物ならインゴットにすればいいだけだ、などともったいないことと、リーファに心当たりのある神話を知らないか聞いてみるか、と考えながら。クラインとともに武具をストレージにしまい込み、あとは《エクスキャリバー》を入手するだけとなると。
――ダンジョンに地鳴りが始まっていた。
「お、お兄ちゃん! まだクエスト終わってない!」
最近は人数が多いところでは控えていた、リーファが「お兄ちゃん」呼びをするまでに慌てながら、キリトとメンバーにメダリオンを見せつける。クエストの終了時間を黒く染まっていくことで知らせるそれは、もうほとんど漆黒に染まっていたが、まだ止まってはいなかった。まだクエストは終わっていないのだ。
「な、何? 帰るまでが遠足ってこと!?」
「いや、それを言うならエクスキャリバーを取るまでが遠足じゃ」
「遠足って?」
「……早くエクスキャリバーを取りに行こう!」
一時混乱したものの、誰かが言ったそう解決策に飛びついた。全力で《エクスキャリバー》があるだろう、次の階層へ降りる階段に全員で駆け下りる。もはや落ちているかも下りているかも分からない、そんな様子で次の改装に到着すると、《エクスキャリバー》が突き刺さった台座を見る。
「キリト!」
「ああ!」
この場で最も、筋力値と敏捷値を高いバランスで備えているのはキリトだ。キリトが地鳴りの中で高速で駆けると、《エクスキャリバー》の柄に手をかける。
「ぐ、ぬぬ……」
しかし、そんなキリトをもってしても《エクスキャリバー》は重いらしく。掴んだもののなかなか台座から引き抜けないようだった。その頃には地震も強くなり、一歩も身動きが出来なくなっていた。
「何やってんのよキリト、早く抜きなさいって!」
「――ってりゃぁ!」
決してリズの暴言……もとい、声援が力になった訳ではないだろうが。遂にキリトが《聖剣エクスキャリバー》を台座から引き抜き――
「あっ」
――ダンジョンは崩壊した。
「ひゃぁぁぁぁあ!」
高いところから落ちる時の独特の浮遊感を感じながら、ジェットコースターが苦手だと語っていたシリカが、耳に残る高音の悲鳴を響かせる。妙に冷静なのは隣に同じく悲鳴をあげていたリズがいて、そのリズを目に捉えて心に刻むことに全神経を集中し
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