第百一話
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あえず何が起きたかは大体分かった。
「そんなことより……今のうちに一斉攻撃だ!」
「お、おう」
今ならトールに意識が向いているため、踏みつぶさなければソードスキルは狙い放題だ。近接攻撃もこなせるアスナとレコンも剣を構え、シウネーの援護とともに総員でスリュムに接近する。
「ぬぉりゃぁぁぁぁぁぁ!」
……クラインの一際大きい叫び声とともに、全員のソードスキルがスリュムに叩き込まれる。まだHPゲージは大分残ってはいるが、このタイミングで倒すと全力をぶつけていく。
『うっ、ぬぐっ……』
トールとメンバーの怒涛の連続攻撃により、遂にスリュムは膝を着く。スタン反応を起こしたスリュムの眼前に、《スキルコネクト》を温存したキリトと、柄に新たなアタッチメントを装着する俺が接近する。選ぶアタッチメントの属性は光――《閃光》。
『地に返るがよい! 巨人の王めが!』
『ぐ、おおお……ふ、ふふ。今は勝ち誇るがいい羽虫ども……だが、奴らこそが真の、しん』
キリトの連撃と閃光の刃はスリュムを貫き、トドメとばかりにトールの右足が踏み潰す。凄まじいエンドフレイムが巻き起こり、氷の欠片となって宝物庫に静寂を招く。
「ふぃー……」
リズの何とも言えない吐息がその沈黙を破ったが、まだメンバーに緊張は続いていた。何しろ、目の前にまだスリュムと同程度の巨人がいるからだ。件の巨人――トールは、数歩歩くと俺とクラインの姿を見下ろした。
『妖精の剣士たちよ。貴君等のおかげで助かった』
そう言い放つトールの姿が徐々に消えていき、俺とクラインの手に光とともに武具が出現する。フレイヤとなっていたトールを助けたクラインはともかく、自分は……スリュムの拳を切り落としたか、それともラストアタックだったか。何にせよ、クラインとともにその光を掴むと、トールはニッコリと微笑んだ。
『正しき戦に使うがよい……さらばだ』
その言葉とともにトールは完全に姿を消した。掴んだ武具から光がなくなっていくと、二人が手に入れた武具の姿が露わになる――その姿は一目だけでも、伝説級の武器と分かる代物で。
「……伝説級武器ゲット、おめでとう」
……ただしクラインが手に入れたかったのは、伝説級武器などというものではなく。キリトが慰めるように手に肩を置いたものの、肝心のクラインからの反応は芳しくない。
「…………ハンマースキル、オレぁビタ一文上げてねぇけど」
長い沈黙の後、クラインは受け取った伝説級武器――トールが使っていたハンマーである《雷鎚ミョルニル》を片手に、万感の思いを込めて呟いた。そう言われると鍛冶屋の血が騒ぐ、というもので。
「クライン、いらないなら引き取る」
「うっせ! そういうお前は何
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