第百一話
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とかそのような次元ではないが――スリュムの拳を切り刻み、自分の横の床に腕は炸裂する。
――その日本刀《銀ノ月》の刀身には、水が纏わりついていた。
「よし……」
新生日本刀《銀ノ月》の能力は、俺に使えないソードスキルの補完をするもの。新生ALOのソードスキルに追加された属性という概念を、日本刀《銀ノ月》に取り入れること――
――つまり。全ての属性の力を、刀身に纏わせることが出来る、と。地、水、火、風、闇、聖。それぞれの属性とその能力が、日本刀《銀ノ月》には時間制限付きで付与される。
よって。どんな衝撃だろうと壊れない流水の力を得た刀身は、スリュムの拳だろうと受け流した。
「……いい感じだ」
出来栄えに満足しながらも、柄から《流水》の力を得るアタッチメントを排出すると、新たなアタッチメントを差し込んでいく。すると刀身には《業火》の力が宿り、スリュムの弱点であるその属性による一撃を拳に見舞う。
一閃。床に斬り払われていたスリュムの右の拳が、一瞬の閃光とともに右腕と離れポリゴン片と化す。拳を失ったスリュムの手からは血こそ出なかったものの、そのHPゲージを大幅に減少させるという結果に終わる。
『キサマァ――』
「まだ全部試してないが……もうごめんだ」
柄から《業火》のアタッチメントを排出して腰にしまい、高速移動術《縮地》でスリュムの狙いから逃げる。ここら辺りが限界だと言わんばかりの逃亡に、スリュムは俺の姿を探すものの、その顔に爆撃のように矢と魔法が浴びせられた。
……いや、それだけではなく。黄金色に輝く巨大な鉄槌が、スリュムを正面から捉えていた。
「ん……?」
あくまで魔法使い組の攻勢までの準備時間と、キリトの宝物を探すまでの時間稼ぎ。最初からそのつもりだが、まさかそんな時間稼ぎが何を巻き起こしたのか。
「んん……?」
『卑劣な巨人めが……我が宝《ミョルニル》を盗んだ報い、受けるがよい!』
むしろスリュムと見紛うような、雷光を全身に纏った巨人。右手に鉄槌を構えたその巨人の名は、パーティーメンバーの《フレイヤ》と入れ替わるように、《トール》と刻まれていた。
『小汚い神が……アースガルスに送り返してやろうぞ!』
残った腕に氷の斧を出しながら、スリュムとトールは俺たちを気にせず殴り合いを始めていく。どういうことかも分からずポカンとしていると、キリトたちが駆けつけてくる。
「その……キリト」
「……簡単に言うと、フレイヤさんはあのオッサンが化けてたんだ」
出来るだけクラインを見ないように説明するキリトに、こちらも――いや、他のメンバーも――クラインの方を見ないようにしながら。どこか何とも言えない雰囲気が支配していたが、とり
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