第百一話
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を聞くよりも早く、三人でそれぞれの役割分担を決める。その答えにキリトも頷いて、三者三様の方向へ飛び出した。シノンは見事な身のこなしで逃げ回っていたが、それも長くは保つまい。
「やぁっ!」
……とはいえ。シノンを追うスリュムの前に、青色の髪をたなびかせたアスナが立ちはだかった。左手に杖を持ってスリュムの足を凍らせ、足止めした瞬間に右手の細剣が繰り出された。火力は少なくスリュムには通じないが、とはいえ足止めには成功する。
「……いらないんじゃないか、これ」
「なーに馬鹿なこと言ってんのっ!」
アスナの獅子奮迅の活躍につい出た言葉に、何故か離れた距離から聞こえたらしいリズからの叫びが飛ぶ。どんな地獄耳だ――と思いながら、俺は日本刀《銀ノ月》の柄を握る。上体を落として疾走して勢いをつけて跳躍、スリュムの背中に向けて抜刀術を叩き込む。筋肉の鎧を斬り裂く一太刀は、スリュムの背中に消えない傷を作る。
『ぬっ!?』
「こっちだ」
スリュムがこちらの一撃を気にして後ろを向いている間に、俺は既にスリュムの肩に乗っていて。目の前にボサボサと広がる白い髪に掴まると、その首の後ろに日本刀《銀ノ月》を深々と旗のように突き刺す。スリュムが痛みで暴れまわる前に、掴んでいた髪の毛を力任せに引き抜いた後、空中をクルクルと回転しながら落下する。さらに腰からあるアタッチメントを取り出し、落下しながらそれを眺める。
「ここら辺り……か!」
落下しながらタイミングを合わせて、先程背中を斬り裂いた場所に日本刀《銀ノ月》を突き立て、落下を途中でキャンセルする。痛みで暴れるスリュムを日本刀《銀ノ月》にしがみつきながら、吹き飛ばされないように耐えると、スリュムが今どうなっているか考える。人間で例えるならば、手の届かない背中に針が刺さっているような。
そんな状態では、暴れまわるのも頷ける。蹴りとともに日本刀《銀ノ月》をスリュムの背中から抜くと、落下しつつ縦一閃に斬り裂いていく。
「っと」
スリュムの背中に切り傷を作りながら、腰を落としてゆっくり悠々と着地すると、スリュムがこちらを向いて睨みつける。両腕を振り上げてパンチ連打の構え、その隙に日本刀《銀ノ月》の柄にアタッチメントを取り付ける。
ずっと使うタイミングを逃していたが――ソードスキルを使えない自分のために、リズとレインによって改造された新生日本刀《銀ノ月》。その正体はレインのデフォルメされた似顔絵が書かれた、簡単に持ち運べるサイズのアタッチメント。それを柄の内部に入れることで、効果を発揮する。
「っせや!」
取り出していたアタッチメントを柄の内部にセットし、スリュムの迫る両腕に日本刀《銀ノ月》を振りかざす。本来ならば圧力と質量の違いから、斬り払う
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