第百一話
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ながらも、律儀に全体攻撃の警告をするユイとリズの逆ギレが響く。そんなさえずりを聞きながら、スリュムはゆっくりと右足を上げると、俺たちをまとめて踏み潰さんと迫る。
「ピナ! バブルブレス!」
「えぇーい!」
いち早く風から脱出していたらしいピナが、シリカの指示に従ってスリュムの顔面に泡を吐いていく。それにスリュムが一瞬怯んでいる間に、リーファと後方のレコンが放った風が放たれ、スリュムの吸引力を伴う風を打ち消した。一目散に逃げるメンバーの後方で、スリュムの足が振り下ろされる。
「うぉっ!?」
後方の地震に足を取られながらも、とにかくスリュムから離れ。安全な距離までたどり着きひとまず反転すると、氷のドワーフが出現とともに狙撃される瞬間を目撃した。適当な撃ちもらしを片付けながら、再びソードスキルを叩き込まんと接近した瞬間、スリュムが再び大きく息を吸う。吸引力を発生させる風ではなく、一直線に放たれる衝撃波ブレス。
「よっしゃあ!」
シノンたちに放たれた衝撃波ブレスはテッチが防いでくれたが、その衝撃波はフィールド全域に伝播していく。予想外の方向から放たれた攻撃を防ぐと、再びスリュムが大きく息を吸っていた。
「前のブレスと違います! 皆さん避けてください!」
再び衝撃波ブレスとばかり思っていた近接攻撃組に、間に合わないタイミングでユイの警告が響く。スリュムが放ったブレスは一直線に放たれる衝撃波ではなく、周囲に放たれたのは冷凍ブレス。それに直撃したメンバーの、武器を構えたままの氷像が完成する。
「くっ!」
ブレスを切り裂いた俺はその範囲外から素早く抜けると、同じく免れたらしいキリトにルクスと合流する。氷像に殴りかかろうとするスリュムの喉元に、弓矢の火線を撃ち込むソードスキル《エクスプロード・アロー》が命中した。目に見えてHPゲージが減ったスリュムは、その怒りのままにシノンに向かっていく。
「この隙に……!」
「剣士様!」
シノンがスリュムを引き寄せてくれた隙に、回復とみんなの救出を済ませようと思った瞬間。アスナたちといた筈のフレイヤが、俺たちの目の前で語りかけていた。
「このままでは、スリュムを打倒することは叶わないでしょう。ですが、私の宝物に隠された真の力があれば……」
「し、真の力……?」
恐らくはこの部屋中に散らばった宝の中に、フレイヤが探している宝物とやらもあるのだろう。ここに来て戦力が増えるのは、もちろん残された時間としてもありがたい。迷ってる暇はないと、三人でそれぞれの顔を見渡した。
「よし……俺はユイと宝物を探しに行く! だから……」
「俺はシノンを助けに!」
「私はみんなを助けに行こう」
リーダーであるキリトの指示
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