第百一話
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うちです!」
さらに追撃を加えようとしていたスリュムだったが、その眼前を黒い霧のようなものが覆う。その正体はノリの幻惑魔法であり、下級魔法故に効果持続時間も一瞬だったが、それだけあれば充分だ。同じ方向に逃げたメンバーたちで即席パーティーを組み、スリュムを囲むような陣形の、三つの集団を完成させる。
その中でも後衛組だったメンバーから、ひとまずシノンの矢やレコンの闇魔法の弾幕が飛ぶ。しかしスリュムにとっては蚊に刺されたようなものなのか、まるで効いていないようであり。ただ、ターゲットをそちらに移すだけで終わる。
「後ろに」
スリュムが本当に虫を払うように手を払うと、暴風雨のような旋風がフィールドに発生し、シノンたちがいるグループへと突風となって襲いかかる。それはテッチが大盾により、それ以外のメンバーはテッチを盾に見立て、吹き飛ばされないように持ちこたえ、旋風によるダメージは即座にシウネーが回復する。
「雷よ!」
攻撃魔法を得意とするメンバーはテッチの後ろに固まってしまったが、そこ以外の場所から紫電の雷光がスリュムを襲った。フレイヤが放ったNPC特有の高位魔法であり、それとともにクラインの斬撃がスネを切る。スリュムがターゲットをクラインに変更しようとした瞬間、反対側から俺たちのグループ――というかリズが飛び出し、その小指に執拗にメイスを叩き込んだ。
さらにシノンの爆発を伴う矢が顔面に直撃し、ユイの誘導によって三分割されたターゲットに、スリュムは一瞬だけ攻撃目標を見失う。足元のゴミを払うような蹴りは放たれたが、近づいていたリズにクラインも、いつまでも同じ場所に留まっているわけもなく。
「うぉぉぉっ!」
そのスリュムの一瞬の逡巡に対し、キリトとリーファが懐に飛び込んだ。邪神級ボスの名に相応しいスリュムでさえ、幾分かの怯みを与えるソードスキルを兄妹で叩き込み、その隙にメンバーの一斉攻撃が加えられた。
『小癪な!』
メンバーの人数に任せた袋叩き。特にスリーピング・ナイツのメンバーの、集団での戦闘における熟練度は見事の一言だった。そしてこのような事態に陥った大型ボスは、大抵の場合広範囲攻撃を行うか、もしくは――
『現れろ!』
――手下のモンスターを呼び出すか、だ。
床から現れる氷で出来たドワーフ。斧を持った猪のような獣人が、スリュムの足元から俺たちに襲いかかる。……が、その左胸に素早く火矢が直撃する。
「ナイスです!」
ステータスを上げる支援魔法を唱え終わったシリカが、氷で出来たドワーフが出現した瞬間に、見事な精密射撃をくらわせたシノンに声援を送る。ノリが撃ち漏らしたドワーフを坤で砕きながら、さらに攻撃を加えようと接近するが……スリュムの右足のスタンプにより、フ
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