番外編 〜喫茶店のマスター〜
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ある。
「それじゃあがんばってサービスします。髪乾かしますね」
「かわかすくまー」
「お前は黙ってなさい」
「ゴメンナサイダクマ」
「ぷっ……お願いします」
床屋さんは手際よく髪を乾かしてくれ、もののついでにとワックスでスタイリングしてくれ、男の子の方はそんな父親の仕事っぷりを興味津々といった具合で見つめていた。よく見たら、時々アホ毛がぴくんと動いていた。
男の子からの至言『母ちゃん譲りのアホ毛はいいくま?』をさらりと受け流し、床屋さんは僕の髪を整えてくれた後、両肩をぽんと叩いてくれた。
「ほい。終了です」
「ほっ!」
心地よいインパクトを受けて、リラックスしていた身体が覚醒した。なんだかずっと髪を切っていてもらいたい。ずっとこの空間にいたいと思わせてくれるような、そんな時間だった。
「ありがとうございました。よかったらまた来てください」
「またくるくまー」
とても優しい二人のお礼を受け取ったあと、僕はそのままミア&リリーの方にも足を運ぶ。居心地がよくてとても優しい床屋を教えてくれたお礼をマスターに伝えるためだ。ちょっとだけ残念だけど。あんなに優しくてお似合いな人と結婚してて、あんなに可愛らしい子どもがいたってことが、心の何処かで少しだけ寂しかったけれど。
ミア&リリーのドアを開ける。いつものようにカランカランと音がなり、店の奥からマスターのやる気ない『いらっしゃーい』て声が聞こえてきた。
「ぁあ、いらっしゃい。髪切ったの?」
「はい。マスターおすすめのおとなりで切ってきました」
「そっかー。どうだった?」
「よかったです。床屋さんも優しいし」
「だよねー」
いつもに比べてちょっとだけらんらんとした眼差しで僕の髪型を見るマスター。自分の旦那さんの仕事っぷりが気になるのかな?
「うん。やっぱり短い方がさっぱりしてていいじゃん」
「そ、そうですか?」
「うん。今の方が私は好きだよ?」
そう言ってマスターは屈託なく笑ってくれる。そんな顔されると、妙にドキドキしてしまう。いつもリラックスさせてくれるこのお店の空間とマスターの態度が、今日は妙に僕を緊張させてくる。いけない。この人は旦那さんもいるし、お子さんもいるのに……。
「あ、あの……お子さん、可愛かったです」
「へ?」
「お子さん。おとなりの床屋さん、旦那さんなんですよね。お子さん、旦那さんの仕事っぷりが見たいって言って、ずっと一緒にいました」
緊張して変な話を振ってしまったッ! ヤバいッ!!
「ぷっ……」
「ま、マスター?」
「ぶふっ……私とハル兄さんが……夫婦か……」
僕の血迷った発言を聞き、マスターは急に吹き出してケラケラと笑い始めた。
「えーと……ぶふっ…
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