第四話 変化の兆しその六
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「やっぱり」
「じゃあ行く?吉野家」
「それで食おうな」
「あれだね、特盛で玉一つだね」
「お味噌汁もな」
それも欠かせないと返した龍馬だった。
「それだな」
「龍馬は吉野家だといつもそれだね」
「食う時に上に紅生姜を乗せてな」
「それもたっぷりとだね」
「話してると食いたくなってきた」
実際にとだ、龍馬は顔を微笑まさせて言った。
「じゃあ行くか」
「そうだね、僕も付き合うよ」
「御前は何を食うんだ」
「僕も牛丼だよ」
優花も微笑んでこう返した。
「龍馬と一緒だよ」
「けれど御前は並だな」
「うん、特盛も食べられるけれど」
それでもと返す優花だった。
「そこまで食べたら晩御飯に差し支えるから」
「並か」
「それだけだよ」
卵もも味噌汁もつけないというのだ。
「それでいくよ」
「御前はいつも並だな」
「そうだね、確かにね」
龍馬の微笑んでの指摘にだ、優花も微笑んで返した。
「言われてみればね」
「吉野家だとな」
「吉野家いいよね」
「早い安いでな」
「そして美味しい」
「本当にいいな」
龍馬は声も微笑まさせていた。
「じゃあ食いに行くか」
「これからね」
優花と龍馬は優花の話の後で二人で吉野家に行った、そしてそこでそれぞれの牛丼を食べたのだった。
優子はレントゲンの話を覚えていた、だが。913
院長に呼ばれた時だ、彼女は首を傾げさせてその話を伝えてくれた新人の美人の看護士に尋ねた。
「私に?」
「はい、蓮見先生にです」
「直接お話があってなの」
「院長室に来て欲しいとのことです」
「どうしてかしら」
優子はあらためて首を傾げさせた。
「私みたいなヒラの医者に」
「ちょっとないですよね」
「この病院大きいからね」
勤務している医師や看護士の数は相当なものだ、職員や清掃員も加えるとさらに多い。
「一介の医者にまでね」
「院長先生が呼び出しとか」
「ないけれど」
「私もそう思いますけれど」
「それでもなの」
「はい、蓮見先生をです」
優子自身をというのだ。
「お呼びです」
「わかったわ」
信じられないといった顔でもだ、優子は応えた。
「今から行って来るわね」
「それでは」
こうしてだった、優子は院長室に行った。そしてだった。
優子は病院のその院長室の扉をノックした、すると。
「どうぞ」
穏やかな初老の男性の声だった、その声に応えてだった。
優子は扉を開けた、部屋の中は紅の絨毯が敷かれ後ろは窓だ。部屋の左側には本棚があり様々なファイルが置かれている、右側には様々なトロフィーがある。
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