第二百四十八話 魔の島その五
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「そうせずとも周りから見てな」
「確かめまするか」
「そうしようぞ、ではな」
こうしてだった、雑賀は自らその島に向かいだ。それと共に。
空に向けて一発放ってだ、こう言った。
「これでよしじゃ」
「はい、これでですな」
「他の船達も集まります」
「そして船が集まれば」
「それで、ですな」
「あらためて島に向かうぞ」
こう言ってだ、そしてだった。
雑賀は自分達が乗っている船の周りに雑賀衆の船が集まるのを待った、島に向かうのを途中で止めてまで。
そしてその船達を見てだ、笑みを浮かべて言った。
「よし、一隻も消えてはおらぬな」
「ですな、皆おります」
「海でやられた者はおりませぬ」
「では万全の数で」
「島に向かいましょうぞ」
「皆の者鉄砲だけでなくじゃ」
ここで雑賀は己が率いる雑賀衆全員に告げた。
「手投げの炮烙にな」
「はい、それに刀や手裏剣もですな」
「身に着けておきます」
「何時でも使えるようにです」
「しておきます」
「戦に行く」
この言葉もそのまま出した。
「そうするぞ」
「ですな、魔界衆の者達がいれば」
「その時はです」
「まさに命のやり取りになります」
「間違いなく」
「だからじゃ」
その為というのだ。
「よいな」
「はい、鉄砲に手投げの炮烙を用意して」
「刀や手裏剣を身に着け」
「そのうえで」
「行きましょうぞ」
「そうせよ、では行くぞ」
こう言ってだ、そしてだった。
雑賀は雑賀衆の船を全てその島に向かわせた。彼等は紀伊で海賊の様なことをしていたこともあったので船を操ることにも長けていたので何なく島のところまで行けた。
そしてその島を見てだ、雑賀は眉を顰めさせて言った。
「報の通りじゃな」
「はい、草木はなく」
「岩ばかりの島ですな」
「そしてその岩がやけに黒く」
「不気味なものですな」
「妖気を感じるのう」
その報通りというのだ。
「確かにな」
「ではここに」
「若しや、ですが」
「魔界衆の者達がですか」
「潜んでおりますか」
「有り得る」
実際にというのだ。
「だからじゃ、よいな」
「はい、では」
「これよりですな」
「島にさらに近付き」
「必要とあらば上がりますか」
「そうする、皆迂闊なことはするな」
雑賀はこうも言った、それも強く。
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