第二百四十八話 魔の島その三
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「ここまで怠け者だとな」
「駄目だっていうのね」
「そうだ、御主も働け」
「私働くの嫌いよ」
こうも言う萌だった。
「絶対にね」
「仕方のない奴だ。しかし嫌でもだ」
「働かないとなのね」
「駄目だ、いいな」
「やれやれね」
「わかったら働け」
風魔はあくまでこう言う。
「いいな」
「仕方ないわね、だから今もなのね」
「そうだ、我等はこのまま探していくぞ」
魔界衆の居場所をというのだ。
「御主の忍術も頼りにする」
「そこまで言うのなら私もやるわね」
「そうせよ」
「さて、じゃあ探し続けるか」
煉獄はあらためて言った。
「魔界衆の連中をな」
「そうしようぞ」
風魔はその煉獄に応えてだった、彼もまた魔界衆の面々を探し続けた。それは根来衆の者達も同じだった。
根来衆の棟梁であり雑賀孫市は安芸の辺りを調べていた、その島の一つ一つを虱潰しに探し回ってだった。
今は自身が率いる根来衆の報を聞いていた、だが。
どの者もだ、項垂れて言うのだった。
「申し訳ありませぬ」
「こちらにはいませんでした」
「影も形もありませぬ」
「一体何処に消えたのか」
「皆目見当がつきませぬ」
「そうか、御主達もか」
報を全て聞いてからだ、雑賀は言った。
「わしもじゃ」
「棟梁もですか」
「あの者達の居場所はわかりませぬか」
「どうしても」
「うむ、どうもな」
困った顔で言う雑賀だった。
「どの島にもおらぬ」
「そうですか、ただです」
ここで雑賀衆の一人が言って来た。
「確かです」
「確か?」
「はい、この瀬戸内の方に鬼ヶ島がありましたな」
「そういえばそうであったな」
雑賀はその者の言葉にはっとなった。
「桃太郎のあの話じゃな」
「そうです、あの島はお伽噺のことですが」
「あの島は実はか」
「魔界衆の島だったのでは」
「そういえば鬼もまつろわぬ者だったな」
「ですから」
「言われてみればそうじゃ、しかし」
ここでだ、雑賀はあらためて言った。
「あの島は備前の方ではないのか」
「備前のですか」
「桃太郎は備前の話じゃ」
このことをだ、雑賀は今言った。
「そしてその備前からな」
「桃太郎は世に出て」
「三匹の僕を従えた」
犬、雉、猿のだ。
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