第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
チョウジ
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みたいな貧乏人が住むところなんてありやしないんだ、人を殺したお金で潤ってるあんたらとは違ってね! ――村から出る前にへんなナリの忍びがやってきてさ。父ちゃんのこと助けてって頼んだのに、あいつ父ちゃんにとどめ刺しやがった。木ノ葉が襲われて大変なんですぅって被害者ズラすんじゃねえよ。無意味に殺しあってるくせに。無意味に殺しあってるのはそっちのくせに! ――あいつその後蛇に押しつぶされて死んじゃったんだ、ほんと爽快! 忍びなんて全部クズクズクズ。人殺しめ!!」
言いながら少女は更に激しく泣いた。その首から下がるお守りには「ヤバネ」と刺繍されている。サスケとチョウジは顔を見合わせた。このままじゃどのみち彼女は出血多量で死ぬかもしれないけれど、だからと言って彼女の言ったあの忍びのように彼女にとどめをさすことは出来ない。そんなことをしたら自分たちは本当の意味でただのクズになってしまう。例え人殺しのクズでも、里と仲間を守ったクズでいたい。
だが今彼女にそんな処置をしても仕方ないだろう。包帯や兵糧丸などの忍具を取り出し、チョウジが応急処置をし始める。いらないと喚く彼女には耳を貸さない。
「――ごめん、サスケ。僕、ここに残るね。この子、忍びのこと凄い恨んでるけど……だからって放っておけないし。我愛羅のこと、頼んでもいい? 後で直ぐに追いつくから」
「……ああ、構わない。……頼んだぞ、そいつのこと」
放っておけない気持ちは同じだが。しかしもっと放っておけないのは我愛羅の方だ。
「アイツをこれ以上暴れさせとくわけにはいかねえ……一般人の為にも、里のためにも、俺たちの為にも」
「うん。任せたよ、サスケ」
「――ああ!!」
サスケが走り出す。そのスピードは前よりもずっと早い。
ヤバネの言葉が二人に与えた衝撃は大きい。チョウジは顔岩を思い出して唇を噛み締めた。三代目火影の柔和な笑顔が脳裏に蘇る。でも彼とて無意味に殺しあったわけではないはずだ――きっと里を守り、仲間を守るために戦ったはずなのだ。
父に手をひかれて歩いていた道で偶然あったときだとか、Dランクの容易極まりない任務を達成した時だとか。優しく笑ってくれる三代目が好きだ。里の皆の顔や名前を覚えていてくれる彼が好きだ。
「火影さまたちは皆、里を守るために戦ったんだ。火影さまのこともよく知らないくせに僕らの里長を酷く言うのは許さない」
余りにひどいヤバネの傷口に吐き気を催しながらも、言っておきたいことはいくつかあった。
「それに僕たちが彼らを英雄と称するのは、彼らが水火を辞さずに必死で里を守り切ったからだ」
「どうでもいいよそんなの。あたしにとって火影も父ちゃんを刺したあの忍びも何のかわりもない。あたしら一般人にとって忍びは忍び。一括りにされちまうものなんだ
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