第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
チョウジ
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森の中を駆けていたその最中、ふと聞こえた泣き声にチョウジとサスケは足を止めた。二人して樹上から飛び降りる。見れば木の根元、茂みの陰に少女が一人と、背の高い男が横たわっていた。
ぐちゃぐちゃに乱された白い髪、日焼けして浅黒い肌と色あせた茶褐色の衣服にべったりと赤い血が飛び散っていた。恐らく一般人だ。そういえばこの森の近くには小さな村があったような気がする。男の方はもう死んでいた。虚ろな瞳が空を見上げている。べったりと血で濡れた男の体を抱える少女の脚を見て、サスケもチョウジも息を呑んだ。
酷い攻撃を受けたようだ。左足があるべき部分には何もなく、ただ彼女の衣服をぬらす血があるのみ。右足も酷いありさまで、ぱっくりとわれた大きな傷口の中に見えた白っぽいものは多分骨だった。
「ね、ねえ、大丈夫?」
チョウジが顔を近づけると、少女はサスケとチョウジの額宛てに視線を向けて、呟いた。
「木ノ葉の忍び?」
二人は同時に頷いた。少女の顔が怒りに歪んだ。
「――いい加減にしてよ」
サスケとチョウジは思わず顔を見合わせた。少女の言っている言葉が理解できなかったのである。
「ヒトゴロシ! あたしたち一般人をあんたら忍びの下らない争いに巻き込まないでよ! あたしたちがどんな悪いことしたって言うのよぉお!? 九尾も犬神も蛇も全部あんたたちのせいじゃない!! 母ちゃんを返して。兄ちゃんや姉ちゃんを返して。父ちゃんを返して! この人殺し! 九尾を止めた四代目火影は英雄? 里をつくった初代と二代目火影は英雄? 三代目火影はすばらしい人? ざけんな! 人殺しのくせに何が火影よ。何が英雄よ! 人殺しがふんぞりかえって火影なんて名乗るなんて気色悪い。チャクラなんて扱えるからって偉そうにしてんじゃねえぇえええ!!」
その言葉に、チョウジとサスケは言葉を失った。少女の瞳に浮かぶのは激しい憎しみだった。一瞬、彼女の姿がユヅルと重なる。犬神、という単語にも気になったけれど、でもそれより驚かされたのは。
人殺し。自分たちはまだ誰も殺したことはないとはいえ、一般人の目から見ればどれも同じようなものなのだろう。そして一般人からしてみればきっと、忍びの所為で引き起こされた争いに巻き込まれるのは迷惑至極なことなのだろう。
そして一般人からしてみれば。自分たち忍びが火影を英雄と称えるのは、忍びを英雄と称賛するのは。ひどく矛盾したことなのだろう。
「でもそれならお前たちは木ノ葉にすまなければよかっただけの話だろう」
と答えるサスケも正論だ。けれど理性を失った少女にとってそれは火に油を注ぐも同然だった。
「ばっかじゃないの? あたしたちみたいな貧乏人は木ノ葉の辺境みたいなちっちゃい村にしかすめないの。火の国のほかのところにあたしたち
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