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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十一話 予兆
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んな」

シュターデンか。相変わらず馬鹿な男だ。ミュッケンベルガーも同感なのだろう。顔をしかめている。
「敵はティアマトを重視しているということか、陽動は上手く言ったようだな」
「はい」

 帝国軍は今年一月の中旬頃からティアマト星系で小規模の偵察活動を頻繁に行なった。帝国軍の狙いはティアマト星系だと思わせるために。どうやら反乱軍は引っかかったようだ。
「それと、敵の輸送船ですが、軍のものではありません。民間のものです」
「どういうことだ?徴発したのか」

ミュッケンベルガーは不審そうだ。当然だろう、俺も最初聞いたときは同感だった。
「いえ、なんでも前線基地への補給だったのですが、輸送船の手配ミスから補給が間に合わず民間に輸送を委託したようです」
「やはり近くに基地があるか…」
ミュッケンベルガーの声に苦悶が走る。

「はい。但し補給基地のようです。ティアマト方面の補給を重視する余りこちらの補給がおろそかになったというか…」
「放置しても問題ないか」
「閣下。敵の基地を放置など…」
「止めよ!シュターデン。ミューゼル中将どう思うか」
「放置しても問題ないと思います。敵には宇宙空間での戦闘能力はまずありません。あっても微々たる物です」

「よし、ならば放置だ。先へ進もう。敵はどの辺で我々を待ち受けると思うか」
俺を試すのか、この老人。
「敵は陽動に引っかかりました。となるとアルレスハイム、パランティアでの迎撃は難しいでしょう。おそらくはパランティアとアスターテの間ではないかと」
「うむ。予定通りだな、中将」
「はっ」

合格か。ま、当たり前だが。
「ミューゼル中将、敵の補給船を拿捕し物資を奪った事、よくやった。卿の艦隊はこれまでどおり先鋒として、アルレスハイムを抜けパランティアからアスターテを目指せ」
「はっ」

 敵はこちらの作戦に引っかかった。昨年のイゼルローン要塞攻防戦の早期停戦、そしてティアマト方面での陽動作戦により反乱軍は、ミュッケンベルガーの真意は艦隊決戦に有る、主戦場はティアマトと判断した。彼らを愚かだとは責められないだろう。俺とて最初はティアマトだと思ったのだ。しかし我々はアルレスハイムからパランティアを抜けアスターテを目指している。

アスターテからはドーリア、エル・ファシルの二つの星系へ行く事が出来るのだ。当然敵にとってそれは好ましい事態ではない。敵はこちらがアスターテに入る前に阻止しようとするだろう。反乱軍はティアマトに展開しているはずだ、となればパランティアは間に合わない。パランティアとアスターテの間がやっとだろう。おそらく補給を含めた後方支援の準備は余り出来まい。長期戦は出来ないということだ。ミュッケンベルガーの望む艦隊決戦が生じようとしている。

 俺は今までミュ
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