ダイヤのA 妄想小説
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湧き上がる歓声。
それが一層大きくなる度に赤いランプが一つ点く。
響くのはそれだけではない。
乾いたミットの音、ボールの当たった金属バットの甲高い音。
そして…男たちの雄叫び。
ここは自らを磨いた球児たちが、己の全てをぶつける舞台。
相手は因縁浅からぬ薬師、彼ら打者を迎え撃つのは…これまた彼らとの因縁のある、一年生サウスポー。
独特なフォームに、自らの意思で変幻自在に変化させるムービング。
自らの持つ武器をぶつけ―――以前は打ち崩された。
しかし、今の彼はあの時とは違う。
以前とは違う、アウトローという武器。内角へ投げられないイップスを乗り越え、更にはチェンジアップという新たな武器を身に付けた。
―――あぁ、ちくしょう…
強力打線と言われる薬師のバッターたちを、次々と三振に打ち取っていく。
今の彼はまさに、青道のエースと言っても過言ではない。それだけのピッチングを、あのマウンドでやってのけている。
―――チクショウ…!
そして遂に、薬師の四番―――轟雷市を…
「―――ストライク、バッターアウトッ!」
三振。
同時に、球場を揺らすかのような歓声が起きる。
メガホンを持ちながら応援していた俺たちも、その例外ではない。
あいつが、あのアホでバカなあいつが…堂々たるピッチングをしている。
―――ちくしょう…!
今でも凄いと思う。
甲子園目前までいったあの試合で、デッドボールをやらかし。
その所為で内角に投げられなくなって。
それでもあいつは、あそこに立っている。
―――畜生…!
素直に思う。凄いと、尊敬すると。
バカでアホな野郎だが、絶対的エースがいる中でも諦めず、前へ進もうとする。
それはバカ故か、はたまたアホ故か。
―――なんであいつばっか…!
そうだ、諦めなかったから、あいつはあそこに立っているんだ。
進み続けたから、あそこに立っているんだ。
―――負けるか…!
俺だって、諦めてたまるか。
これでも中学では…いや、そんなお飾り、もう意味もないか。
片岡監督に面と向かって「エースになる」なんて言った、名も知れない奴があそこに立っているのだから。
―――負けてたまるか!
俺だってピッチャーだ、あそこで投げることに対するプライドがある。
ぜってぇ、あそこに立ってやる。あのマウンドに立って、あいつらと同じような、滾る戦いを。あそこでしか味わえない緊張感を…!
―――ぜってぇ負けねぇ!
ぜってぇあそこに
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