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ONE PIECE《エピソードオブ・アンカー》
episode17
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はこの子のことだろうと、簡単に推測出来た。アンカーは時間を確認する。もうすぐ巡回の時間だ。その時にでもこの子を引き渡せばいい。ナミにその旨を告げると、一瞬青ざめたようにも見えたがアンカーは見て見ぬフリをした。

「それまで、話相手になってくれる?」

 アンカーの最後の一言に、目を輝かせて元気よく「うん」と答えた。






「──航海地図?」
「そう! いつか自分で旅をしながら、それを完成させるの!」
「気の遠くなる話だね」

 アーロンパークにいる理由を訊ねてから数分で互いの夢について語り合うとは思いもしなかったが、ナミの純粋に「航海士になりたい」という夢を微笑ましく思った。「おねえさんは?」と訊ねられ、アンカーは目を細めて考える。今まで考えたこともなかった。今もそう。

「無いね」
「えー」
「僕の夢は、もう叶ってしまったからね」

 そういうことにしておこう。
 ナミは不貞腐れていたが、諦めたように違う話題を語り始めた。幼いといえどもナミも女なのだと思い知る。“それ”が許された環境下にいたからこそ出来るものだとアンカーは羨ましくも思った。

「アンカー、変わりないか?」

 どうやら時間がきてしまったらしい。
 自身の体に変化が無いことを告げて、迷い込んでしまったナミを送ってやってほしいと頼む。巡回に来た船員の1人が怒り狂ったように武器を振り上げる。それが落とされる瞬間、アンカーの「──おい」という低い声が響いた。

「僕は“送ってやって”と頼んだんだ。その子は僕とアーロンのお気に入りだ。勝手なことは許さない。───返事は?」
「は、はいぃ!!」

 戸惑うナミに手を振って、またね、と言えばナミも手を振り返した。
 扉が閉まると部屋の中は暗くなった。普段ならどうとも思わなかったのに、1人に戻ってしまった部屋を暗いと感じる。天窓から差し込む月明かりが、伏せ目になったアンカーの顔を照らしていた。
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