■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆蘇生
第十六話 出会いは唐突で
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い。更に、せいぜい一度に回復できるのは二割が限界だ。
敵が近づいてくる。この階層で最強レベルの猿人型モンスターではあるが、本来シリカにとって脅威とは成り得ないはずだった。しかし……彼らはなんとHP回復系の特殊スキルを持っていたのだ。三体もいるので一体を倒す前にスイッチされて回復の隙を与えてしまう。シリカはかなり焦っていた。焦りはミスを誘う。被弾を重ね、彼女のHPは黄色まで落ちてしまった。
死の恐怖がシリカの身体を縛った。もはや一歩も動くことは叶わなかった。敵が棍棒を振り上げるのをただ呆然と見る他にシリカができることはなかったのだ。走って逃げればよかった。それができなくても転移結晶を使えば目前の敵から逃走することだけはできたはずなのだ。しかし、圧倒的な死の恐怖を前に、シリカはなにもできなかった。
敵の棍棒が光を帯び、躊躇なく振り下ろされる。シリカは思わず目を瞑った。
しかし……なにか重いものが風を切りなにか柔らかいものに当たったような音がしただけで、彼女の身体を襲うはずの衝撃はいつまでたってもやってこない。おそるおそる目を開けたシリカが目を開けると……
彼女の目の前で、棍棒に吹き飛ばされたピナのHPバーが全損し、光を放ちながら消滅した。
マルバは走る。ハイディングレートがみるみるうちに降下し、0になるとその表示自体が消滅した。少し遅れて彼の足元でユキのハイディングが解け、ぐにゃりと空間を曲げるようなエフェクトと共にその黒い身体が現れる。
戦闘の音は間近だ。先ほどしばらく剣の音が途絶えたためプレイヤーが死んでしまったことを恐れたのだが、今は再び剣の音が聞こえている。しかし、その音は最初に比べかなり頻度を増しており、おそらくそのプレイヤーはかなり無茶な攻撃をしていることがわかる。棍棒が振り下ろされる音も聞こえるのだが、それに対抗する音が聞こえないからだ。
少し開けた場所に出て、マルバの目は、振り上げられた棍棒の下に特攻する、赤く染まったHPバーを持った小さな影を捉えた。
シリカの狭窄した視界には憎むべき敵の姿しか写っていない。既にピナを殺した敵は葬った。他の敵も生かして返さない……小さな少女のものとは思えない獰猛な思考が彼女を支配する。あと一撃喰らったら死ぬ、そんなことも関係なく彼女は棍棒を振り上げた敵に無茶な特攻を仕掛けたが……
眩い閃光が視界を横切ると、彼女が相手にしていた二体の敵が一瞬にして砕け散った。
消滅エフェクトの向こうに見えた少年は驚いたような目でこちらを見つめている。そのことを確認することもなく、シリカはその場に崩れ落ちた。
「私を独りにしないでよ、ピナ……!」
マルバが敏捷性パラメータに物を言わせてかなりのスピードで放った『円月斬』は当然のように二体
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