番外編 〜夜戦トーナメント〜
ハルの膝は誰のモノか
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「な……なんか緊張するね……」
晴れてトーナメントも終わり、演習場は今急ピッチで片付けに入っているそうな。その間優勝者の川内は、賞品である俺の膝枕での耳掃除を堪能するってことらしい。
『まー大丈夫だと思うけどさ。傷心の球磨姉はこのまま片付けが終わったら夜間の哨戒任務に行かせるよ。あとは私に任せて、川内の方をよろしくー』
『ハルを球磨型軽巡洋艦にする球磨の野望がァアアア!!?』
北上のこの一言で、球磨はそのまま急遽夜間の哨戒任務の担当となった。まぁこの場にいたら、あの妖怪アホ毛女は余計な騒動を起こしかねんからな。肝試しの時の理不尽な振る舞いは忘れん。
というわけで、今俺と川内はバーバーちょもらんまに戻ってきて、いつもなら北上が寝転がってる長ソファに二人で座っている。道具は準備してあるから、あとはいつでも始められるわけだが……
「そういうこと言うから、逆に緊張しちゃうんだと思うぞ?」
「そ、そうかな……」
優勝者にして稀代の変態、そして俺の救世主の川内は俺の左隣でガッチガチに緊張していた。おい。さっきまでの伸び伸びとした変態具合はどこいったんだ川内。
「とりあえず寝っ転がってみたらどうだ?」
自分の膝をポンと叩いて自己アピールしてみる俺。だから顔真っ赤にするのやめろって……耳まで真っ赤にされると、こっちまで恥ずかしくなってくる……。
「……」
「……」
「……んー……っ!」
「?」
「じゃあ……失礼しますッ!」
ついに観念したのか、川内は俺の膝に頭を預けてきた。んー……まだちょっと緊張してる? まぁいいか。
「んじゃいくぞー」
「よしこい! これも夜戦ッ!!」
そんなこと考えてると、自分の中に眠る変態夜戦女の血が騒ぎ出すぞ……。まぁいい。おれを艦娘化という未曾有の危機から救ってくれた英雄だしな。気合を入れて耳掃除してやるとしよう。
いつものように最初は耳の中の汚れ具合を観察した後、川内用の耳かきで耳の中をかきかきして差し上げる。
「せんだーい」
「んー?」
「ありがとなー。さっきは」
「んっく……何が?」
「川内が妖怪アホ毛女を撃退してくれなかったら、今頃俺は球磨型軽巡洋艦六番艦・ハルになってるとこだったよ……」
「それもちょっと見てみたかったけどねー。……んっく」
「不吉なことを言うのはよせ」
左が終わったら右。川内。はんたーい。
「はーい……」
川内の緊張もだいぶほぐれてきたみたいだ。この時間帯にしては珍しく落ち着いた声をあげる川内を見て、なんだかそんなことを考えた。
「ねー。んっく……ハル?」
「んー?」
俺の腹に顔を向けている川内が、顔を動かさず、目だけ俺の方に向けた。耳掃除をやってる側として
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