番外編 〜夜戦トーナメント〜
ハルの膝は誰のモノか
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な笑顔を向けて俺を見上げる川内は、その後、一向に俺の膝枕からどこうとしない。
「ねぇハル?」
「んー?」
「私さ。夜戦の連続でちょっと疲れた……」
「だろうなぁ。あんなに激しい演習してたんだから」
「だからさ。……もうちょっと、寝っ転がってていい?」
「暁ちゃんも俺の膝の上に座ってたしなぁ。大丈夫だろ」
「ありがと」
そんなわけで、俺の膝枕独占タイムを延長した川内は、その後俺と暫くの間、なんでもない話をしていたわけだが……
「ハル……」
「ん?」
「ごめ……ねむ……」
と、俺の膝の上でうとうとし始め、完全に落ちてしまうその寸前に……
「ヒャッハァァアアアアア!!! どうだーせんだーい!!?」
「ひやぁああッ!!?」
「おーう隼鷹、いらっしゃーい」
突如訪れた隼鷹の雄叫びにびっくりして飛び起きていた。
その後はいつものように酒盛りとなった。いつもと違うところは、提督さんが隼鷹と一緒に来てて、口のところがえらく腫れて、アナゴくんみたいな唇になっているところだ。なんでも、隼鷹から酷い折檻を受けた結果そうなってしまったと、提督さんは涙目で答えていた。
そして翌日……
「ハルっ!! 球磨の耳掃除をするクマッ!!!」
深夜の哨戒任務から帰ってきた球磨はアホ毛をまっすぐに伸ばし、帰ってくるなり朝飯も食わずにそう言ってきた。はいはい。今日は貸し切りにしてますよ。
「むふー。今日はゆっくり耳掃除をしてもらうクマー」
「昨日は俺を球磨型軽巡洋艦にしようとしてたくせに……」
球磨を店内に招いた後、俺はポールサインの回転を止めて今日の営業が終了したことを告げる。きっとこの妖怪アホ毛女は俺の膝枕で耳掃除中にそのまま寝るだろう。そしたら俺は身動きが取れなくなる。そうなってもいいように、先に貸し切りにしてしまうことにする。
「ふわぁ〜……ハル、早くするクマっ」
「はいはい……」
自分を窮地に追い込んだ魔王と、自分を助けてくれたヒーロー。その二人の耳を丹念に耳掃除したお姫様なんて、歴史上俺一人だけなんだろうなぁ。そんなことを思いつつ、やっぱり耳掃除の途中で寝てしまった球磨の頭を撫でてしまう俺だった。
「ハルの膝は……球磨の膝だ……クマ……スー……」
「何言ってんだか……」
終わり。
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