番外編 〜夜戦トーナメント〜
お姫様はハル
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っとして私に膝枕したいの?」
「アホ」
「出てもいいんだけどね。……でも私は人のものには手は出さない主義なんだー」
「それはそれで意味が分からん。ずず……」
「ずず……あーお味噌汁おいし」
北上と息の合ったタイミングで味噌汁をすすりつつ、周囲を見る。飯を食いながら鼻提灯を出したり引っ込めたりしている加古以外は、皆一様に周囲を牽制しながら飯を食っているようだ。普段は仲良さそうに一緒にいる暁ちゃんとビス子ですら、今日は『一人前のれでぃーは暁なんだから!』『私の方が一人前のれでぃーよ!!』と言い合いながらの殺伐とした夕食を繰り広げている。
一方で、別の意味で周囲を牽制している子もいる。
「ぐふふふふふふふ……夜戦……夜戦だよ……待ちに待った夜戦が……!!」
危険極まりない表情でよだれを垂らしながら白飯をかっこむ川内。みんなと比べても明らかに異彩を放った雰囲気の川内の姿を見て、俺は不安しか感じなかった。
「なぁ、もし川内が優勝しても、やっぱ膝枕で耳掃除やるんだよなぁ?」
「そらそうでしょー。なんたって今回の大会の目玉賞品だからね」
北上にそう言われ、再び川内の方を見る。自身の身体の内側からほとばしる情動を抑えきれないという感じで、わくわくそわそわしながら魚の煮付けを食べていた。確かに目線は煮付けに向いているはずなのだが、なぜか俺の方向から見て、その焼き椎茸のようにキラキラと光り輝く両目は、焦点が合ってないように見えた。
「川内は純粋に夜戦がやりたいから参加するんだよなぁ?」
「本人そう言ってたからねぇ」
「……だったらいいんじゃないの? 耳掃除しなくてさ……」
「それは本人に言いなよハル……」
かくして夕食が終わってしばらく経過した午後7時。艦娘たちの意地と欲望に塗れた夜戦トーナメントが始まった。
隼鷹に案内されて会場である屋外演習場に向かう。ちょうど小学校のグラウンドがそのまま海になってる感じで、ズタボロながら照明もついている。おかげでもう暗いのに、割と周囲が見渡せる程度には明るい。
「はい。んじゃハルはあそこに行ってねー」
そう言われて案内された場所は、秋祭のやぐらを再利用した小高い特等席のようになっていた。どうして秋祭りのやぐらの再利用だと分かったのかというと……
「あ……」
『第一回やせんトーナメント大会だクマ』と書かれた看板の裏を見ると、『あきまつりだクマ』と書かれていたからだった。
「はーい。それじゃあトーナメント大会はじめるよー」
「解説は北上と隼鷹でお送りするぜヒャッハァアアアアア」
「ウォォオオオオオオオ!!!」
出場選手5人しかいないはずなのに、どこから聞こえたんだ今の地響きにも似たうねりのような雄叫びは……ちなみに今回
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