第12話 高レベルのジレンマ
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みを浮かべて立たせた。
「というわけで……黒子に掛けてみてよ」
と黒子の背中を掴んでサソリの前へと押して移動させる。
「ちょ、お姉様なぜ黒子に?」
「いいじゃない!さっきから全然話し合いに参加してないし」
「そうですよ!事件解決の糸口になるかもです」
「絶対面白がってますの!!」
二人に押されながらサソリの顔を見下ろす。車椅子にミイラ男のように頭の大部分が包帯に包まれているサソリがすぐ近くにいる。
サソリは目を覆っている包帯をゆっくりと解いていった。
「まあ、誰でもいいしな」
サソリは目にチャクラをジワジワと溜めていくと、写輪眼に紅い光が一層強くなり、見下ろす白井を見上げようとする。
が……
白井は、反射的にサソリから視点をズラした。
「ちょっと黒子!何反らしてんの」
だ、ダメですの……まともにサソリを見ることができませんわ
「その眼を見れば幻を見せることができるのよね」
「まあな、おい早くこっち向かせろ」
御坂と初春が白井の頭を掴んでサソリの方を向かせようとするが強情にも頭が頑なに動かない。
「早くしろよ……チャクラがまだ戻ってねえんだから……そう長くできねえし」
「そんなこと言われましても!」
白井の頬が沸騰するように熱くなっていくのを感じた。
サソリの言葉が白井に注がれるたびになんとも言えないモヤモヤとした感覚が心臓付近から噴出していく。
そんな様子にサソリは頬杖を突いて、大きなため息を吐いた。
「まあ、幻術に掛けられるから、多少なりとも怖さはあるな……それに、オレのような眼を持ったヤツに会ったら今の白井みたいに絶対に目を合わせるなよ」
サソリは写輪眼について説明すると印を結んで、少し動かせる指の先にチャクラを集中させた。
「仕方ねえな……よっと」
サソリは白井にチャクラ糸を飛ばして目を閉じた。
糸から青い光が伝わるように白井に流れ込んでいく。
強情を張っていた白井の身体から力がなくなり、御坂と初春が向けようとする方向へいとも容易く白井は向くと、がっくりとその場にへたりこんだ。
「かかったの?」
「ああ、本来のやり方だが」
サソリが印を結んで更にチャクラを流し込むと白井はへたり込んだ状態から濁った眼をしてパッとサソリを見上げた。
「?」
サソリが白井の表情を見て首を傾げた。
白井の眼からポロポロと涙の大粒があふれ出しながらも、サソリだけを一点見つめ続けている。
次の瞬間には白井の身体が宙に浮いて、サソリの身体へと強烈なタックルをかまして車椅子に座っているサソリに抱き着いた。
「!?て、てめえ!何しやがん……?」
衝撃があったかと思えば白井は顔を上げて至近距離を無言で見つめ続けてくる。
涙がまだまだ零れ落ちてくるようで、喫茶店で泣かした子供と重なって対処に困ってしまう。
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