第12話 高レベルのジレンマ
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白井黒子は御坂美琴のことが好きである。
これだけを言ってしまえば、二人は女性同士であり「百合」の関係ではないかと思ってしまう。
白井が御坂に好意を持ち始めたのは、ある日の派閥争いが起こった時に御坂がたしなめた日だ。
もちろん、最初から女性にしか興味がなかったという訳ではなく、男性を好きになる前に女性である御坂のことが好きになったのである。
いわば最初の導入部分で決まったに近い。
白井だって男性に興味があった時代があったが、ジャッジメントとして任務を遂行していく内に問題を起こす多くの男性と接触、喧嘩をしてきた。
自分の能力に託けて犯罪に走るもの
腕っぷしだけで弱者をいたぶる不良の男
女性をサルのように追い回すエロの塊のような男
そんなのと日常接してしまえば男性に幻滅してしまうのはある意味当然なのかもしれない。
更に同じジャッジメント同士の男性にもあまりトキメクことはなかった。
学園都市は超能力開発に注力してはいるが、その大半が無能力者や低能力者だ。
そのため常盤台の高位能力者である「白井黒子」は、男性にも頼りにされる存在であり、時として男性顔負けのアクションシーンに挑戦することも多々あった。
幼少のときより「正義の味方」に憧れた少女は、自分の信念を曲げずに使命を全うできる進路を選び厳しい試験にも合格した。
ここは形を変えても「弱肉強食」の世界。
女性であろうが、男性であろうがランク付けから高位である強者がより強く、より凶悪な犯罪に挑まなければならない。
ある意味女性にとっては酷な世界だが、ある意味ではシンプルな世界。
だから強い能力を有した自分は、幻滅してきた男性と恋愛関係に落ちることはないと思っていた。
だから唯一頼りにでき、甘えることができる御坂という「お姉様」に憧れ、甘えることでなんとか精神の均衡を保ってきた。過激なスキンシップも厳しい世界に身を置く自分を慰める瞬間であった。
しかし、一人の赤髪の少年の存在が白井の頭をこれ以上ないくらいにかき乱していく。
サソリが不良とケンカをしてから三日が経った日。
治安維持組織「ジャッジメント」の本部には白井と初春がいた。
部屋の中には一人ひとりにデスクが割り当てられて、インターネット完備のパソコンが用意されている。
ここで日夜、学園都市の治安も守るために活動している拠点となる場所だ。
白井は不良の男との喧嘩により受けた傷を初春が薬品を使って、消毒や包帯のまき直しを頼み、治療してもらっている。
「はーい。ちょっと沁みますけど、動いちゃダメですよー」
「痛ッ!」
初春が薬品を付けたガーゼを白井の左腕へと付ける。白井が冷たくしみ込んでくる薬品の感触に慣れないような顔で耐えた。
次は切り傷用の軟膏を取り出して、中身を押し出すとゴム手袋をはめた手に出して、白井の
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