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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第四十話 恒星
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手くやるだろう。
「ヴァレンシュタイン少将。卿に礼を言いたいと思っていた。ケスラー准将を参謀長に推挙してくれた事、礼を言う」
「喜んでいただけて幸いです。ケスラー准将はいかがです」
「よい上官を紹介してもらって感謝している」
「今回はミュラー准将も私の指揮下に入る事になった。楽しみだ」
「はっ。かならず御期待に添います」
うん。思ったより上手くいっているようだ。
「それにしても驚いた。卿が兵站統括部に異動とは。やはりシュターデン少将との確執のせいか?」
ケスラーが問いかけてくる。
「そうではありません。兵站統括部への異動を願ったのは小官からなのです。昨年一年間少し無理をし過ぎたのか、体調があまり良くないので後方への異動を希望したのです」
「そうは皆言っていないぞ、エーリッヒ。卿が兵站統括部へ異動になったのはシュターデンが卿を追い出したのだともっぱらの噂だ」
「ただの噂だよ。ナイトハルト」
「卿は次の出兵のことを聞いているか。今年早々だと聞いているが、まだ何も聞こえてこない」
ラインハルトが訊いてくる。なるほどそれが狙いかな。
「宮中ではもう内定しているそうです。ミュッケンベルガー元帥がおっしゃっていました。発表は遅くとも今週中に有るでしょう。出兵は二月の上旬になると思います」
「場所は?」
「元帥閣下は艦隊決戦を望んでいます。」
「ではティアマトか」
「いえ、アルレスハイムです」
「アルレスハイム?ティアマトではないのか」
「ティアマトに出た場合、反乱軍はダゴンにまで退く可能性が有ると元帥閣下はお考えのようです」
「なるほど」
「アルレスハイムからパランティア、アスターテまで押し出す、それが元帥のお考えです」
皆、顔を見合わせている。大きな戦いになると考えているのだろう。
「エーリッヒ、頼みが有るのだが」
「なにかな」
「艦隊の演習をしたいんだ」
「…それで」
「物資の融通をして欲しい」
「宇宙艦隊司令部には言ったのかい」
「言ったけどね、シュターデン少将にそんな暇はないと断られた」
あの馬鹿、味方の足を引っ張る事ばかりしている。ラインハルトが自分より上位に有ることで嫌がらせをしているんだろう。
「判った。明日宇宙艦隊司令部に行く。その時話してみよう、それでいいかい」
「ああ、そうしてもらえると助かる」
本命はこれだったらしい。その後は他愛ない話をして帰っていった。
■ヴァレリー・リン・フィッツシモンズ
少将たちが応接室に入ると私はキルヒアイス少佐を空いている席に誘った。少佐は赤毛の背の高い感じのいい少年?だった。たまにはこんな男の子と話すのも悪くない。
「キルヒアイス少佐はお幾つなのですか」
「十八です。今年十九になります」
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