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白妙の
染まりし春の
訪れも
君ぞ想いて
侘びぬれば
色も褪せにし
夕暮れに
眺む山の端
濃陰の
迫るや痛む
心ゆえに
藍に光りし
星求め
届かぬ恋に
身を焦がし
掠るる月を
仰ぎ見て
虚しく黄昏る
夢見月かな
気付けば…降り積もった雪も溶け、春になったのだと感じるものの、彼を想えば何とも寂しく…心の拠り所を探してしまう…。
夕方にもなれば色褪せたような山波は濃い影を落とし、まるで迫ってくるように感じて胸が締め付けられそうになる…。
空がうつろい夜が近付けば、そこに掛かる星へと手を伸ばし…彼への想いを吐露する…。
しかし…言葉は霧散し、想いはこの躯を焼かんと強くなるだけ…。
山の嶺に薄雲に隠れて見る月は、さながら御簾に隠された貴人のようで…。
彼との距離も、きっとこのようなものなのだ…。
歳の差だけでなく…性別さえも厭う身なれば、何故に彼に愛されようか…。
彼がこの町を出てから一年…再び訪れた春に、ただ一人…黄昏れる…。
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