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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 5
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強で得た知識のおかげなのかな。はは。ぜんっぜん、嬉しくない」

 浮かぶ思いは自嘲なのか、諦めなのか。
 少女は背筋をピンと伸ばし、乾いた口元を歪ませた。



「……おお? どうしたんだ? ミートリッテ。休日でもないのに、お前がこんな真っ昼間に、ここまで来るなんて。珍しいな」

 村の門の外側に待機していた自警団員の片割れが、すぐ近くで海を眺めるミートリッテに気付いて、声をかけた。

「ボケーっとして、なにをうぉおおおっ!? し、死体が立ってる……っ!?」
「失礼ね、ヴェルディッヒ」

 首を傾げて歩み寄ってきた男性が。
 短い金髪を揺らして覗き見た彼女の顔色に驚き、半歩飛び退く。

「いやいやいやいや! おかしいから! 顔面に小麦粉ぶちまけたみたいな色してんぞ、お前! どっか悪いんじゃないのか!?」
「は? 体調が悪かったら大人しく寝てるわよ。自己管理は(おこた)ってないわ、私。ただ、すっごく怖いだけよ」
「……怖い? 何が?」

 ヴェルディッヒの緑色の目が、不思議そうに瞬く。
 それを目の端に捉えながらも無表情を貫くミートリッテは。
 ただひたすら海を眺めるばかりで、彼の問いに答えようとはしなかった。





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