Side Story
少女怪盗と仮面の神父 5
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ください。村領への立ち寄りと滞在に関しては、村長様に話を通せばすぐにでも許可を頂ける筈です。当面は非武装を第一条件とされるでしょうが、私達に情報を提供し、捕縛の作戦を立てる分には問題ないと考えます。ここで押し問答を続けるよりも適切かつ最良な時間の使い方だと思われますが、いかがか?」
アルスエルナ王国に所属する国境警備隊が存在しない代わりか。
普段なら仕事中であろうと関係なく村の人達と談笑している自警団員も、こういう時はきっちり仕事をするらしい。
堂々とした自警団員の態度に、バーデル軍人はやや圧され気味だ。
「っ……、了解した。提案を受け入れよう。だが、一つだけ容認を求める。本件での行動中、我がバーデルの国境警備隊を増員させたい」
(!! なんですってぇ!?)
「そちらの領土内に限るのであれば、私達に否と答える権限はありません。事前の確認として受け止めましょう。村の者にはその旨を伝えておきます」
「感謝する」
(……ウソ、でしょ……!?)
バーデル側の国境警備隊の増員。
しかも、村の人達への事前報告付き。
同時に村の守りも堅固になって……
これでは、不穏な動きを感じ取った村の人達は、絶対山には近付かない。
双方の国で暗黙の了解ができた以上、アルスエルナの領土内であっても、バーデルの国境警備隊の目が届く所で不自然な動きをした人間は、無条件で不審者にされてしまう。
たとえ公務執行妨害を名目に拘束されたとしても、文句は言えない。
早朝から深夜まで仕事が絶えない果樹園に仮勤め中のミートリッテなら、村の人達に確認を取ってもらえれば、即時解放されるだろうが。
どうしてこんな時(しかも深夜)に国境近くの山なんかへ入ったのかと、ハウィス達に厳しく問い詰められるのは必至。
内容が内容だけに、適当な誤魔化しは一切通用しない。
バーデル軍人の追跡だけでなく、両国の協力態勢が本格化したら。
ただでさえ一本しかない道が、国内外から極端に狭められてしまう。
「警備隊には許可を得た直後からそちらの領土内でも活動を開始させます。そのつもりでお願いします」
「ええ。危険分子を排除する為の戦力として、期待させていただきますよ。では、村長様の家までご案内します。どうぞ、こちらへ」
団員の片割れが、四人を連れて村の中へと移動を始めた。
隠れた人影に気付きもせず、その脇を無言でぞろぞろと歩いていく。
無骨な背中を見送ったミートリッテは、自らの額に手を当てて目を閉じ、ため込んだ息を盛大に吐き捨てて、混乱しかけた思考を必死で回転させる。
まだ、だ。
現状はまだ、海賊に脅迫された時点と大差ない。
警備隊を増員させたいのなら、実行は村
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