Side Story
少女怪盗と仮面の神父 5
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レているのか? あの四人は、男達を追って来たバーデルの軍人?
なんてことだ……。
思い掛けない衝撃に ぐっ と拳を握って歯を食い縛り、心の中だけで吼え叫ぶ。
(もっとちゃんと早く追い掛けて、しっかりがっちり捕まえといてよ! くぉの無能軍人共ーッ!)
遅い。あまりにも遅すぎた。
仮に今直ぐ捕まえてくれても、クローゼットからトリモチが落ちて来たー! と喜べる時機はとっくに過ぎ去っている。
海賊はシャムロックの正体を知って接触してきた後。尋問の流れでついでとばかりに捕り物のお鉢を回されでもしたら、とんだとばっちりだ。
(何処まで大迷惑なのよ、アイツら! そりゃ、悪業に手を染めた自分の所為でもあるんだけどさ! 解ってるけどさ!)
ハウィスに危害が及ばなくなると考えれば、品性下劣な男達なんかとっとと捕まえてくれたほうが断然ありがたい。地下牢にでも放り込んで死ぬまで出すなと、バーデル海軍の大将に直訴したいほどだ。
が、捕まえられたらそれはそれで余計な懸念材料が増える。厄介極まりない依頼主が消えてくれるかも……と『依頼』を放棄したとして、逃げ切られたら最悪だ。
怪盗を脅す海賊と、海賊を追い掛ける軍人と、海賊と軍人両方の動きを警戒しなきゃいけない怪盗。
ああ、嫌な構図。
状況は、単純に脅されていた時よりもずっと悪い。
(なんなのよ、もう……ッ!)
女衆の環視に続いてまたしても微妙な位置に立たされ、苛立ちが腹の底に大きな石を作り出した。きりきりした痛みとずっしりした重みで泣きそうになる。
「……そうですね。私達とて危険な連中を放っておきたくはありません。ですから、まずはアルスエルナ人にお任せください。此処は私達の国。自国の警護は私達自身の役目。貴方方の任務と別の目的であれば、私達も独自で迅速に動けます」
「ですが!」
「私達が動いている間、貴方方は各種申請を行ってください。村への立ち寄りと滞在に関しては、村長様に話を通せば直ぐにでも許可を頂ける筈です。当面は非武装を第一条件とされるでしょうが……私達に情報を提供し、捕縛の作戦を立てる分には問題無いと考えます。此処で押し問答するよりも適切、且つ最良な時間の使い方だと思われますが、如何か?」
警備隊が居ない代わりか、普段なら見張り中であろうと関係無く村人達と談笑している自警団員も、こういう時はきっちり仕事をするらしい。
堂々とした団員の態度に、バーデル軍人はやや圧され気味だ。
「っ……了解した。提案を受け入れよう。だが、一つ容認を求める。本件での行動中、我がバーデルの国境警備隊を増員させたい」
(!! なんですってぇ!?)
「其方の領土内であれば、私達に否と答える権限はありません。事前の確認として受け止めましょう。村の者にはその旨をきち
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