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俺の四畳半が最近安らげない件
ブルボン 再び 〜小さいおじさんシリーズ2
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か。関羽は白頭巾の頭上から、頭巾部分をガン見しまくったあと、ふと視線を外して豪勢をじっと見つめ、やがて莞爾と笑った。
「ご無沙汰しております」
「おぉ関羽殿…関羽殿!」
豪勢が感激の余り、声を上擦らせて叫んだ。
「またこうして合い見える日が来るとは…!」
「貴公から受けた大恩、生涯忘れたことはございません。赤兎馬は、よく私に尽くしてくれました」
あのような馬には何度生まれ変わろうと、もう巡り合うことはないでしょう。関羽はそう続けて涙ぐんだ。
「つもる話はまた後ほど…さて、丞相殿。私になにか御用で?」
白頭巾に向き直ったときの表情たるや…閻魔大王がすごい悪い奴を壇上から見下ろす時みたいな感じだ。しかも近い。めっちゃ近い。しかし白頭巾は一切悪びれることなく、静かに…言い放った。
「ルマンド切ってください」
「え!?」
「ちょっ!貴様、待…」
他の2人がドン引きする勢いの直球勝負だ。俺も引いた。…だってこの男、関羽だろう?関帝廟の、青龍偃月刀の関羽だろう?ぐびり、と喉を鳴らして様子を伺っていると、数秒の沈黙の後、関羽の喉がくっくっくと音を立てた。
「くっくっく…ルマンドを切れ、ですか。荊州太守の私に、ルマンドを切れ、と。この青龍偃月刀で切れと!!」
髪と髭がぶわり、と震えて陽炎のように揺らめいた。怒髪天を衝くとか、実物見るの初めてなんだけど。
「ははははは丞相殿の『御命令』でございますからねぇ、ははははは!!」
関羽は燃え立つような怒気を背に、青龍偃月刀をひゅんと振り上げ、すわとばかりに振り下ろした。稲妻の如き閃光、衝撃と巻き起こる風塵。すっげぇ、実物の軍神すっげぇ。
「ひっ…」
端正が短く悲鳴をあげて飛び退った。青龍偃月刀は、白頭巾の真横の畳に、深々と突き刺さっていた。
「おやおや、どうも今日は調子が悪いようだ。青龍偃月刀に振り回されて、少〜しよろけてしまったわい」
いやいや、よろけてない。あの一撃、すごい腰入ってた。
「はは、失敗は誰にでもあるものですよ」
白頭巾はこいつはこいつで、まったく悪びれることなく微笑んでいる。分かってんのか、もう少しでお前真っ二つになるとこだったんだぞ。
「関羽殿も、寄る年波には勝てませんな。御気になさらないでください」
「え!?」
「ちょっ!貴様、待…」
関羽は片手で軽々と青龍偃月刀を引き抜き、瞳にぎらりと殺意を宿して再度構えた。今度は大上段だ。
「ははは…次は外しませんぞ。一撃で…一撃で仕留めてくれる!!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ関羽殿!!余も悪かった軽率だった、どうしてももう1度、生きている関羽殿に逢いたくて無茶を云ったのだ、余も同罪だ、余に免じてここは槍を引いてくれ!!」
豪勢が割って入った。ナイス豪勢。関羽も毒気を抜かれたような顔で、槍を降ろした。
「…戯れで
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