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魔法少女リリカルなのは 〜彼の者は大きなものを託される〜
第一羽 少女たちの想い
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 アタシとフェイト、すずかがなのはを宥める方が火に油を注がなくて済むと思ったのだろう。

「うん、別に怒ってない」

「え?」

 山本の意識がはやてに向けられた時、なのはの表情が変わった。

 それは嬉しそうな笑顔。

 つい今まで怒っていたのが演技だったみたいで、なのははいつもの笑顔で、アタシたちに聴こえる音量で言った。

「私、こうして戯れあうの久しぶりだったから……なんか嬉しくなっちゃって、調子に乗っちゃった」

 ペロッと下唇を出したなのはの表情は、本当に嬉しそうで、楽しそうで。

 その表情も、久しぶりだった。

 二年前のことで一番ショックを受けたのは、絶対になのはだ。

 家族だし、義理だけど兄妹だったから、辛いのはなのはが一番だったと思う。

 アタシたちも泣くほど辛い想いをしたけど、なのはだって耐えられなかったはず。

 だから二年前のことが過ぎてから、なのはの笑顔には欠けているものがあった。

 それを表現できる言葉は知らないけど、何か大事なものが欠落しているって思った。

「……アンタ、いい笑顔してるわよ?」

「え、そう?」

 けど、今のなのはの笑顔は、間違いなくあの頃のものだ。

 欠けていたものを取り戻したような、そんな笑顔。

 なのはに自覚はないけど、アタシたちは気づいた。

「うん、楽しそう」

「良いことあったって感じがしてるよ?」

「そ、そうかな?」

 フェイトとすずかも、安心したような笑顔でなのはを見つめた。

 アタシたちがどんな想いの笑顔かなんて分からないだろうけど、でも……アイツも、山本って人も、信じて良いのかもしれない。

 あくまで今のところは、だけど!

「ほら、後ろの二人! はやく来ないと置いてくわよ!」

「あ、おう!」

「置いてくのは堪忍や!」

 後ろの二人を呼び、あたしたちはまとまって歩き出す。

 山本がなのはの方を見ると、なのはは再び怒った表情で無視した。

 ……ホント、素直じゃないんだから。


*****


「もう、なのはちゃんったら」

「一度決めたら最後までってところは、なのはらしいけどね」

 私、月村 すずかは怒ったフリをするなのはちゃんに苦笑していた。

 私の隣を歩くフェイトちゃんも同じ表情でなのはちゃんを見つめてしまうのは、なのはちゃんのことをよく知ってるから。

 変なところで意地っ張りで、一度怒ると解決するまで、納得するまで引きずっちゃうような人だから。

 そんな部分がアリサちゃんと喧嘩になる原因だったりするんだけど……。

 今回は山本さんとはやてちゃんのおふざけで出ちゃったみたい。

「な、なの
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