暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜彼の者は大きなものを託される〜
第一羽 少女たちの想い
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


「気にせんでええよ。 なのはちゃんやって本気で怒ってるわけやないから」

「ほ、ほんとか!?」

 そう言って彼は迫る勢いで目を見開く。

(ほんま……どこまで似てるんや)

 彼も、落ち込んだ時に励ましの言葉を送ったら、大きなリアクションを取っていた。

 こうして迫る表情も、凄く似てて……。

「ほ、ほんまや。 放課後になれば完璧や」

「そ、そうか……でも、後でまた謝っとかないとな」

 そうやって安心して、でも反省もして。

 何度、何度も、私の目には重なって見えてしまう。

 亡くなった彼と、湊飛さんの姿が、重なってしまう。


*****


 自慢じゃないけど、あたし、アリサ・バニングスは異性に好かれる。

 それはあたしやすずかがお嬢様と言える家柄だからっていうのがきっと大きい。

 だけど、あたしとすずかだけじゃなくて、なのは達だってモテてる。

 あたしと同じくらいモテる。

 でも、男子って基本的にしつこい人ばかりで、小学生の頃からあたしたちは異性と少し距離を置いて過ごしていた。

 男子はどいつもこいつも、しつこくて下心ばっかり。

 ……けど、アイツだけは例外だった。

 なのはの義兄のアイツだけは、他の男とは違った。

 下心がないはずがない。

 けどそれを表には出さないし、むしろ出さないように努力しているのが見てわかるような人だった。

 変なところで気を使って、変なところで無神経で、けど不快感なんてなくて。

 優しかったり、厳しかったり、頼りになったり、頼りにならなかったり。

 ホントに変な人だった。

 けど、その変な部分が嫌いじゃなくて、むしろ接しやすかったと思う。

 そんなアイツも、二年前に死んじゃって……ショックだった。

 色んなことをアイツに言ってきたけど、本心はほとんど言えなくて後悔した。

 色んな思いを伝えたかった。

 そんな後悔からか、アタシは異性に対する壁を少しだけ取り除いた。

 少しは接することを意識した。

 それはアイツに対する罪滅ぼしなのかもしれない。

 アイツだって望んでないだろうけど、それしかやることが浮かばなかったから。

「ほんまごめんな〜」

「なのは、ごめんってば」

 はやてと一緒に謝っているアイツは、そんなアイツに似ている。

 きっとすずか達も同じことを感じていると思う。

 だって皆、アイツのことが大事だったから。

 失ったショックを共有しているから、感じているはず。

「なのはもそろそろ許してあげなさいよ」

 謝罪を諦めたはやてと山本は、アタシたちの後ろに下がって何やら話し始めた。


[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ